酒井ゼミでは会社法の深い理解を目指し、基礎から段階を踏んで学んでいく。3年生は教科書の担当箇所を読み込んで報告し、会社法の基礎知識を身に着ける。4年生の夏学期は会社法をはじめ商事法全般における最新の判例について、冬学期は卒論の進捗について報告する。

 ある論点について調査→報告→議論を行うというスタイルはとらないが、それらの報告一つひとつについて酒井教授からしっかりとした補足がなされる。確実な 知識をもって判例の分析にあたることで、昨今の会社法の実務上の争点が見えてくるのだという。十分に基礎固めを行うことや少人数ならではのアットホーム さ、教授との距離の近さに魅かれて酒井ゼミを選んだという学生も多い。「会社法は条文が多く、複雑ですが、その分得るものも多いです。先生も丁寧に解説し て下さいます」とゼミ幹の加藤雄一さん(法4)は話す。

 元々会社法に興味があった学生にくわえ、ロースクール進学や公務員試験を目指す学生や副ゼミ生も在籍する。会社法を効率よく学びたいという学生にも適した ゼミだと言えるだろう。酒井教授は「企業法制やビジネス法務に関する知識や問題意識を深めることは企業就職後にも役立つでしょう。3年生になってから会社 法の講義を取る学生がほとんどですし、興味があれば前提知識は問いません」と話す。

 酒井教授には、単に教科書や論文に書いてあることを目で追うだけではなく、その内容を筋道の通った論理とともに自分の知識として吸収してもらいたい、という学生への強い希望がある。
制 度のバックグラウンドにある「なぜそうなるのか」という紆余曲折や制度同士の内的なつながり、運用に際して考慮すべきポリシーを講義だけで学び取るのは難 しい。会社法の難しさであると同時に面白さであるというこのバックグラウンドへの理解を深め、大局的に会社法を見ることができるようになることは、ゼミの 真骨頂であると酒井教授は語る。

 日本の会社法制度の全体図をつかみ取り会社法への理解が得られると、日本の企業社会の傾向と趨勢、経営風土が見えてくるのだという。現実と法制度の理念と のギャップが分かってくると、日本の経済体制の改めるべき点を知る一種のきっかけにもなる。複雑で捉えにくいが、その分奥深い会社法。その包括的な知識を 着実に身に着けたうえで自分の興味のもてる分野にじっくり取り組む環境が整えられているのが酒井ゼミだ。