大学入試において女性のみが出願できる入試枠、いわゆる「女子枠」が、理工系学部を中心に一部の大学で導入されている。その賛否をめぐって、SNS上などで物議を醸している女子枠だが、シリーズ第2弾の今回は、女子枠の影響を最も直接的に受けるといえる女子高校生が、実際には女子枠をどのように捉えているのか調査した。
今回のアンケート調査で女子枠の設置に「賛成」「どちらかといえば賛成」と回答した人は全体の53・5%であった。賛成の理由としては、「入試のハードルが下がり、志望理由の一つにすることができるから」「理系女子は少ないと聞くので、少しでも女子が増えたほうが安心するから」「男子が多いからという理由で(希望する進路を)諦めてしまう人が身の回りにいたから」などが挙げられた。
それに対して「反対」「どちらかといえば反対」と回答した人は全体の38・1%で、「下駄を履かされているみたいで違和感があるから」「女子枠で入学すると周りから批判を受ける可能性があるから」「性別を問わず、対等に扱われるべきだと感じるから」などの意見があった。
また、「平等という観点では疑問もあるが、理系分野はあまりにも女子が少ないため女子枠を設けるのは致し方ない」といった中立的な意見や、「今まで男子が多かった分野に女子がためらわずに進むために女子枠は必要だが、女子学生がある程度増えた段階でなくすべきだ」といったように、暫定的な措置として賛成する意見も見られた。
「女子枠を利用したいか」という質問に「利用したい」「どちらかといえば利用したい」と回答した人は57・4%で、「使えるものは使うべきだと思うし、そういう制度なのだからずるではないと思う」などの意見が見られた。また制度自体には反対しながらも、「自分が志望校に入学しやすくなるのなら、女子枠を使わない手はない」などとする声も目立った。
「利用したくない」「どちらかといえば利用したくない」と回答した人は28・5%で「100%自分の力で入試に勝ったと思いたいから」「社会に出た時不利になることがありそうだから」といった理由が挙げられた。
今回行ったアンケート調査では、当事者である女子高校生から女子枠に対するさまざまな意見が寄せられたが、女子枠を設置するうえでは、高校生を含む社会全体の理解を得ることが求められる。
質問と回答
・女性であることが文理選択(予定含む)に影響しましたか。
影響した 2・3
影響しなかった 90・6
どちらともいえない 5・7
まだ文理選択を決めていない 1・0
回答しない 0・3
・女性であることが志望校決定に影響しましたか。
影響した 7・0
影響しなかった 66・3
どちらともいえない 5・2
まだ志望校を決めていない 21・1
回答しない 0・3
・近年、入学試験において女性のみが出願できる、いわゆる「女子枠」を設置する大学が増えています。あなたはこの制度に賛成ですか、反対ですか。
賛成 17・8
どちらかといえば賛成 35・8
どちらかといえば反対 31・9
反対 6・3
回答しない 8・4
・「女子枠」の有無が志望校決定に影響しましたか。
影響した 1・0
影響しなかった 59・8
どちらともいえない 4・2
まだ志望校を決めていない 33・7
回答しない 1・3
・志望校に「女子枠」が設置された(されている)場合、あなたは利用したいと思いますか。
利用したい 23・2
どちらかといえば利用したい 34・2
どちらかといえば利用したくない 24・0
利用したくない 4・4
回答しない 14・1
(数字は%表示、小数第二位以下は四捨五入。調査は11月21日から25日の期間中、埼玉県内の高校に通う女子生徒を対象に、Googleフォームを用いて実施した。回答数は383)