如水パーティーのあの時、彼らの堂々たる立ち振る舞いと「音の塊」に圧倒された。それと同時に、一生関わることはないだろうと思っていた。


 應援部と私しかいない兼松講堂が、力強い声によって振動する。彼らの練習が始まる合図だ。高2の時に剣道部を辞めて以来忘れていた、体育会系特有のあの空気に気圧された。改めて、自分の押しの弱い性格を情けなく思った。

応援部に体験入部中の記者(右端)

 いざ、体験入部が始まる。左足を前に出し膝を垂直に曲げ、右膝を伸ばしながら内くるぶしを地に着けて30秒間キープ……。通常の練習の数割に満たないという負荷でも、大腿筋と右足の関節が悲鳴を上げた。
 また、一見簡単そうに思える動きでも、応援では体を大きく使う必要がある。見た目以上にハードだ。40分ほどの練習が終わる頃には、全身が汗ばんでいた。体験した練習内容には、「オン」の過酷さが垣間見えた。

 とはいえ、取材ということもあり場の空気は一貫して和らいでいた。ある程度の上下関係は保ちつつ、和気あいあいと話している。部外者の私にも、フレンドリーに接してくれた。その様子は普段の「オフ」を彷彿とさせた。
 その後、応援のデモンストレーションを披露してもらった。リーダー(学ランを着た男子)とチアリーダーのキレのある動きと迫力が、如水パーティーの時より人数が少ないながらも心の芯に響いた。実際に練習を体験し、交流したことで部内の雰囲気を体感でき、応援をより身近なものとして感じるようになったのかもしれない。

 應援部では、体育会系団体の試合を応援するだけでなく、選手たちと交流会・食事会を開くこともあるという。「オフ」での密な関係を持つ選手たちは、より「オン」の応援に励まされていることだろう。

 ……そもそもなぜ積極性と対極にいる私が、應援部に「体験入部」しようと思ったのか。確かに、先輩に「おもしろそうだから」と唆されたのもある。しかしそれは、少しでも彼らのような積極性を掴みたかったからでもあるのではないのか。
 だが、今回の体験入部でそれが決して一朝一夕で身につくようなものではないと分かった。少なくとも私にはまだ早い。

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