【一橋から「好き」の世界へ】劇団四季東京営業部 高畑もなみさん(令2法)

「確かに、一橋の人はまだ見たことがないです(笑)」
 演劇。実学志向といわれる本学とは、少し遠い世界かもしれない。
 そんな演劇界に飛び込んだ卒業生がいる。今年度から劇団四季東京営業部で働く高畑もなみさん(令2法)だ。演劇の仕事に出会ったきっかけや仕事のやりがい、コロナ禍での取り組みについて話を聞いた。


 生で舞台を見るのが好きだった。「同じ演目、同じ俳優さんでも毎回微妙に雰囲気が違うので、何回見ても飽きないんです」。一番好きな作品は『キャッツ』。作品の世界観を徹底的に再現した劇場が魅力だ。一般的な劇場とは異なり、作品の舞台である都会のごみ捨て場が、猫目線の大きさで再現されている。
 演劇に関わる仕事の存在を意識し始めたのは大学2年生のとき。インターネットで、偶然舞台制作のアルバイトを見つけたことがきっかけだった。アルバイトで演劇プロデューサーのアシスタントを経験する中で、演劇を仕事にしようと心に決めた。
 法学部では山田敦教授のゼミに所属し、国際政治経済学を専攻した。演劇の仕事を志してからは、著作権についての授業をとったり、動画配信サービスの海外展開について卒業論文を書いたりした。
 東京営業部では団体向けのチケット販売を行っている。学校の芸術鑑賞会や企業の福利厚生に向けて、公演を紹介するのが仕事だ。
 自分が公演を勧めたお客さんがチケットを買ってくれたときが、仕事をしていて一番うれしいという。

撮影:下坂敦俊(画像提供:劇団四季)

 新型コロナウイルスは劇団四季にも影響を与えた。昨年(2020年)は、年間3000公演のうち約3分の1が中止になった。3度目の緊急事態宣言でも公演が中止になったが、5月12日から東京の劇場では公演を再開することができた。しかし、コロナ前の活況にはまだ戻っていない。以前は人気公演だと1年先まで空席がないこともよくあった。「今は、公演は行われていても客席が空いている日がある。そういう日は寂しさを感じます」
 劇場では感染対策を徹底している。客席ではマスクの着用をお願いし、検温や手指消毒も欠かさない。また、俳優からの飛沫対策として、舞台端から客席まで2㍍の距離を空けてチケットを販売している。
 コロナ禍に新たな取り組みも行った。その一つが公演のオンライン配信だ。『ロボット・イン・ザ・ガーデン』などのオリジナル作品をライブ配信した。
 さらに、現在は人気作『オペラ座の怪人』で学生限定割引を行っている。お得な料金で提供することで、観劇を通じて学生生活の思い出をつくってほしい、という思いがあるそうだ。

撮影:野田正明(画像提供:劇団四季)

 演劇界に興味のある学生に向けてメッセージをもらった。
「演劇を仕事にしたいと少しでも思ったら、まずはインターネットなどで調べてみるのがおすすめです。演劇界への入り口は意外と見つかります。演劇の仕事といっても、俳優や技術スタッフ、制作など、周りにはいろいろな人がいます。自分がどんなことをやりたいのかを考えることが大切だと思います」


◎学生割引の紹介◎
・S・A・B席で1000円オフ(C席は対象外)
・対象作品
『オペラ座の怪人』(8月28日(土)公演まで)
 日本ミュージカル史上類を見ないスケールの大きなこの舞台は、1988年の日本初演以来、有名なパイプオルガンの旋律とともに瞬く間に社会現象となり、これまでの総観客動員数はおよそ700万人。通算上演回数は7000回を超え、『ライオンキング』『キャッツ』に次ぐ国内第3位を誇ります。(公式ホームページより)