【企画】夏の害虫対策―環境的アプローチから

 6月になり、夏の訪れを感じると同時に、虫の活動も活発化してきた。その中には、人々の生活と密接に関係し、悪影響を及ぼすものもいる。一人で害虫 に立ち向かわなければいけない下宿生にとっては、切実な問題だろう。そこで害虫対策として、環境的防除、すなわち環境整備とその維持によって害虫の生息し づらい状況を作るという方法を、東京都多摩立川保健所に聞いた。

【ダニ】

 ハウスダストや吸血による湿疹を引き起こすダニは高温多湿を好む。そのため、真夏の日中部屋を閉めきって外出していると、室内でダニの活動が活発になる。家 を空ける時にエアコンをつけたままにして室温を下げ、除湿もするのが効果的だが、金銭的に実践は難しい。ただ、現実的な策として、こまめに掃除をして通気 性を確保するだけでもダニ対策として有効だ。掃除機をかける際は、ゆっくり丁寧に動かすことを心がけるとより効果的である。また、炊事や風呂を沸かすだけ でも湿度は上がってしまうが、その際は換気扇を動かしたり、窓を開けて風を通したりすれば湿度を下げられる。

【ゴキブリ】

 病原菌を媒介し、雑食であるゴキブリ。彼らは、わずかな隙間にも潜り込み、食品をかじってしまう。彼らの侵入を完全に防ぐのは不可能だ。しかし、整理整頓と 密閉容器の利用によって食品への接触と生息をある程度防ぐことができる。まず、整理整頓によって彼らの隠れるスペースをできるだけ減らす。そして、食品や 生ごみをプラスチック製のフタ付きの容器などに収納する。これだけで、ゴキブリに汚染された食品を口にするリスクが下がる。

【蚊】

 蚊に関しては、やはり蚊の産卵場所である水たまりを取り除く作業が蚊の発生を防ぐ最大の方法だ。植木鉢の皿などにたまった水をこまめに捨てるといった小さな行動が蚊の産卵を防ぎ、生息数の増加を抑制する。それが我々に苛立ちをもたらすあの痒みから解放される近道だ。

 今回紹介した対策は環境的防除に関するものであるため、即効性は期待できない。しかし、このような小さな努力の積み重ねによって、害虫な完全な駆除は不可能であっても、生息数は減少し、快適な日常生活が営めるはずだ。