東日本最古の天満宮として知られる谷保(やぼ)天満宮(国立市谷保⦅やほ⦆)の例大祭の本祭が、9月28日に行われた。爽やかな秋晴れに恵まれた当日は、国立市指定無形民俗文化財に指定されている獅子舞が披露され、笛の音や唄に合わせて体を上下左右に激しく動かす勇壮な舞に、多くの見物客は魅了された。このほか、万灯(まんど)と呼ばれる傘のような形をした灯籠十数基が、JR谷保駅前から天満宮までの約400メートルの道のりを2時間半ほどかけて進む万灯行列も行われた。白色やピンク色の造花が多数取り付けられた万灯が「オイサー」といったかけ声とともに回る姿を、沿道の見物客は楽しんでいた。
近年は獅子舞を舞う舞人の確保が難しくなっている。今年の獅子舞では、2年前に引退し舞人を指導する立場となった獅子舞保存会の会員1人が、舞人として急きょ復帰して参加した。また、舞の一部を省略して時間を20分ほど短縮するなど、舞人の負担を軽減する措置がとられた。
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一般的な万灯でも重さ約60キロ、最も大きい「大万灯」になると重さは約115キロに達するとされ、担ぎ手が時折バランスを崩し、道路上に倒れ込む様子も見られた。
本祭の前日27日夜に行われた宵宮(よみや)では、獅子舞のほか、各町会の関係者が、町名の書かれた提灯を先頭に社殿の周りを3周する儀式が行われ、20時を過ぎた時間帯にもかかわらず、多くの人が境内を訪れていた。国立市内に住む女性は、近くに住む友人2人とともに10年ほど前からほぼ毎年見に来ているといい「ここ数年はコロナ禍の影響もあってか、少しこぢんまりとした感じだったが、今年は以前のように勢いのある雰囲気に戻っているように感じた」と語った。
