本学キャリア支援室がまとめた、2021年度本学学部卒業生の進路状況が明らかになった。就職者数を就職希望者数で割った就職率は95.8%で、昨年度から1.1%減少したものの大きな変化はなかった。卒業生1028人のうち、就職は862人、大学院等進学は67人だった。

 業種別の就職者に対する割合は、長らく首位の座を保っていた「金融」(銀行・証券・保険)が2位へ転落し、昨年度より1.5ポイント減少して21.7%に留まった。代わって昨年度2位だった「サービス業(コンサルを含む)」が1位に浮上し、昨年度よりも7.8ポイント増加の24.8%であった。
 3位は昨年度と同じく「情報・通信」で昨年度比0.8ポイント増加の15.1%となった。

 キャリア支援室によると、21年度卒業生は、新型コロナウイルス感染症によって社会に浸透したオンライン形式に適応しながらの就職活動を行った。具体的には、企業の説明会やインターンシップがオンライン形式で開催されることがより多くなった。早期に内定を得る学生もいたが、就職活動を終えた時期として最も多かったのが6月前半と、就職活動の早期化・長期化の傾向が見られた。またオンライン化の影響として、対面での採用選考が減ったため、直接会って得られる実感や納得感を持って志望先・就職先を決めることに苦労した学生が例年よりも多くいた。

 新型コロナによって、学生の希望進路や職種に大きな変化が生じたことはなかった。しかし、航空・鉄道・旅行業界を志望していた学生は、これらの業界が採用数をある程度抑制したことから、志望業界を他に広げざるを得なかった。また、新型コロナの影響から留学を延期・断念した学生もおり、留学と就職活動を両立して行おうとしていたスケジュールに狂いが生じたケースもあった。

 22年度以降の就職活動に関してキャリア支援室は、オンライン化が進む中、最終面接のみ対面にするなどの使い分けが広がり、対面・オンラインを用途に合わせて併用する傾向があるとした。   

 加えて、25年度卒業生から三省合意改正に伴って、一部のインターンシップを通じて得られた学生情報を企業が広報活動や採用選考活動に使用できるようになる。これについてキャリア支援室は、インターンシップの重要性が増して、就職活動スケジュールは変化していき、就職活動はより多様化・複雑化していくと推測している。今日、企業の早期採用の流れに乗る学生もいれば、学業や留学・部活に打ち込んでから就職活動を本格化する学生もおり、同じ卒業年度でも活動状況は多様化している。また、企業選択の理由としても、ただ企業の規模や安定性だけでなく、成長できる環境やワークライフバランスを重視する学生もおり、選択軸がさらに多様化するという。

データ提供:一橋大学キャリア支援室