全ての国立大学が先月、中期目標の案を文部科学省に提出した。同省は国立大学に対し、あくまで「自主的に」としつつも、組織再編を含めた改革を要請しており、目標案の内容が注目される。
中期目標は法律上、文科大臣により、向こう6年間に各大学が「達成すべき業務運営に関する目標」として示される(国立大学法人法第30条)もので、教育研究の質向上や業務運営の改善などについて言及される。ただし、学問の自由や大学の自治を保障するため、各大学が原案を提出し、文科大臣はこれを尊重するとされている。
文科省は先月8日付で国立大の学長宛てに、人文社会科学系学部などの廃止や他分野への転換を含めた事業見直しを求める文科大臣名義の通知を出している。また、同15日には同省の審議会が、各国立大に「地域貢献」「強みや特色ある分野への特化」「海外の有力大学並みの教育研究」の3種の枠組みからいずれか1つを選択させた上で、選択などに応じて予算を重点配分するよう提言した。提言には、学費の設定について検討する必要性にも言及している。
いずれの通知や提言でも、あくまで各大学の自主的・自律的な運営に配慮するとされている。しかし2004年の国立大学法人化以降、使途に定めのない運営費交付金が毎年減額されるなどしたため、国立大学が文科省の意向に沿わずに運営をすることは財政的にも困難だと言われている。