3月27日、学長選任会議(※)は第11回学長選考会議を開き、中野聡氏(社会学研究科)を次期学長予定者として選出した。任期は今年9月1日から4年間。
今回の学長選考は、現学長の蓼沼宏一氏(経済学研究科)が昨年10月に、今年8月をもって退任する意向を明らかにしたことによるもの。候補として、中野氏のほかに、現附属図書館長の大月康弘氏(経済学研究科)、現副学長(教育・学生、大学経営戦略担当)の沼上幹氏(経営管理研究科)の2人が選出されていた。
なお、社会学研究科・社会学部所属の教員が学長となるのは第13代学長の阿部謹也氏以来。

 

今回の学長選考では、2015年の学長選考規則の改正により、一部の教職員による意向投票を複数回行う規定が削除された(※)ため、投票が3月26日の1回に統一された。
また、3月18日から25日にかけて、院生自治会理事会により学部生・院生および来年度入学者を対象に参考投票が行われた。信任しない候補に投票する除斥方式で、投票総数は359票。大月氏に104票、中野氏に56票、沼上氏に300票の除斥票が投じられた。大学当局がこれまでの学長選考の際に行われていたような協力を行わない姿勢を示したことから、学生が投票場に赴いて投票する従来の方式ではなく、web上でGoogleフォームを用いて投票するかたちで行われた。各候補者の除斥票数や投票率は学長選考会議に報告された。
当初、教職員組合でも全教職員を対象とする参考投票の準備が進められていたが、大学当局からの「参考投票に協力を行わない」との通知を受け、投票の実施が見送られた。
意向投票に先立つ公開質疑や参考投票に向けて、教職員組合・院生自治会から公開質問状が送付された。なお、沼上氏はこれらの公開質問状に対して明確な回答を行わなかった。院生自治会理事会によれば「必要なことは公開質疑ですべて回答する」などの返答があったという。
また、授業料値上げを考える一橋大学有志の会などの本学学部生・院生有志からも公開質問状が送付された。質問状には、授業料や寄宿料の値上げ、学内のハラスメントに関する事項が盛り込まれ、事前にweb上で賛同者の募集が行われた。

 

中野聡(なかの・さとし)
1983年本学法学部卒、90年本学社会学研究科博士後期課程単位修得退学。博士(社会学)。専門は現代アメリカ史、米比日国際関係史、アジア・太平洋戦争史。99年より本学で教鞭をとる。2014年から16年まで本学社会学研究科長・社会学部長、16年から18年まで本学副学長(国際交流、広報、社会連携担当)。著書に『歴史経験としてのアメリカ帝国』(岩波書店、2007年。第24回大平正芳記念賞)、『東南アジア占領と日本人』(岩波書店、2012年)など。


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