社会学研究科内ワーキンググループによる一橋大学キャンパス内差別実態調査の結果が明らかになった。調査は昨年10月から11月にかけて実施され、有効回答者数は1007。うち39.2%がジェンダーや性、人種やエスニシティに関する差別やハラスメントを学内で経験したと回答した。今後は調査結果をハラスメント対策委員会に報告し、ハラスメント防止ガイドラインの改定を求めるという。
調査ではジェンダー・セクシュアリティに関する問いを19項目、人種・エスニシティに関する問いを15項目設置。前者では性暴力被害、後者では人種やエスニシティを理由とした身体的暴力の被害も確認された。ワーキンググループの鄭康烈さん(博社2)は「性役割の押しつけなどが頻発していることをデータで示せただけでなく、身体的、性的暴力の存在を確認することもできた」と話す。
学部・研究科ごとの差別やハラスメント被害経験者の割合を比較すると、最も高かったのは社会学部・社会学研究科で43.1%。次に言語社会研究科で40.3%となった。これについてワーキンググループの貴堂嘉之教授(社会学研究科)は、社会学部や両研究科に多い、ジェンダーやセクシュアリティ、人種、エスニシティに関する講義の効果ではないかと分析する。「 そうした講義が、特定の経験を差別やハラスメントだと認識できる枠組みを形成しているのかもしれない。より多くの学生が差別やハラスメントに気が付けるように、全学的な教育の必要性がある」と話した。