5月19日、本学附属図書館はホームページにて、燃料費高騰を理由に、大閲覧室の開室日を制限すると発表した。これによると、試験期間の土日(5月27日から28日、7月15日から16日、10月28日から29日、12月16日から17日)及び休業期の平日(8月5日から9月10日、2024年2月6日から3月31日)には、大閲覧室が利用できなくなる。本紙では、今回の決定に踏み切った理由や、現在の大閲覧室の利用状況について、本学担当者にお話を伺った。
本学は「エネルギーの使用の合理化等に関する法律」の定める特定事業者に該当しており、継続的に消費エネルギーの削減に取り組んでいる。実際、2022年度の国立キャンパスにおける電気使用量は、2013年度に比べて25・4%削減されている。
しかしながら、本学担当者は「昨年度以降の社会情勢に起因する資源価格の高騰と円安の進行に伴うエネルギー価格の上昇が、大学運営に少なからぬ影響を及ぼしている」と話す。中でも本学附属図書館は、全学の電気使用量の約2割を占めており、大閲覧室だけでも一定の期間閉室することができれば、電気使用量や燃料費の削減に一定の効果が見込めるという。
一方で利用者らからは、大閲覧室の開室制限により、閲覧席不足などの問題が生じるのではとの声もあがった。それに対し、担当者は「図書館全体として閲覧席が不足する状況にはならない」との見方に立つ。その理由の一つとして、5月8日以降、新型コロナウイルス感染症の影響で半数に制限されていた閲覧席が元の数に戻ったことがある。これにより、大閲覧室以外でも400席以上が利用可能となった。また、現状図書館の利用者数自体が新型コロナウイルス感染症の流行前よりも少なく、閲覧席にはかなり余裕がある。そのうえ、今回大閲覧室が閉室される休業期については、例年利用者が授業期間の3分の1から4分の1となるという。以上を踏まえれば、閲覧席の不足は生じないというのが本学附属図書館の考えだ。
担当者は取材の最後に、「サービスの一部制限につながる検討を行うにあたっては、図書館利用者への影響が最小限となるよう配慮しています。そのような観点から、利用者のみなさんへの負担を可能な限り小さなものにしつつ、一定の効果が見込まれる対策として、独立して閉室が可能である大閲覧室を対象として閉室することにいたしました」として、利用者の理解を求めた。なお、今回の決定は令和5年度についてのもので、来年度以降の運営については未定だという。