2月27日、本学法科大学院生転落死の裁判の判決が言い渡され、大学の安全配慮義務違反を訴えた原告側の損害賠償請求が棄却された。裁判では、アウティングに関する学生からの相談への本学の対応が争点となっていた。控訴を含め、今後は未定。

 原告側は、アウティングに関する相談を受けた本学教員やハラスメント相談室などの対応が安全配慮義務に違反すると主張。しかし判決では、各相談で義務違反はなく、大学が転落死を予想することはできなかったとされた。記者会見では「GID(性同一性障害)の診療で有名なクリニックを紹介したことは分かりやすい大学の落ち度では」という質問があったが、GID以外の診療も行なっていることから判決では不適切だとみなされなかったという。原告代理人の南和行弁護士も、紹介したクリニックに問題はなかったと考えている。
 原告側はアウティングの危険性を強調してきたが、判決での言及はなかった。原告代理人の吉田昌史弁護士は「アウティングの危険性や大学の認識に言及し、その上で判断してほしかった」と話した。

 判決を受け、本学はウェブサイトで「引き続き、学内におけるマイノリティーの方々の権利についての啓発と保護に努めて参ります」とコメントした。


一橋大学アウティング事件

2015年、恋愛感情を告白した同級生にアウティングされた本学法科大学院生がマーキュリータワーから転落死した事件。2016年3月、遺族は東京地裁にアウティングをした学生と本学を提訴。学生とは2018年1月に和解が成立したが、本学との裁判は継続していた。