先月、今年度の司法試験合格者が発表された。本学法科大学院の合格率は49・61%で、2年連続の全国1位となった。本学からの受験者数は127名、合格者は63名であり、そのうち既修者コース(※1)は81名中50名が合格、未修者コース(※2)は46名中13名が合格した。また司法試験全体では6899名が受験し、合格者数は1583名、合格率は22・95%だった。

 今回の結果について本学法科大学院長の滝沢昌彦氏は「本学は他の大規模校と異なり学生数は多くないが、教授にとって学生に目の行き届く教育ができる適正規模だ。また、司法の一線で活躍する本学の卒業生がTAとして講義に協力しており、現場の視点から的確な指導が入ることもある。こうした手厚いサポート体制が高い合格率を生む要因だと思う」と話した。

 ただ、高い合格率を誇る本学においても、運営状況は厳しさを増している。司法職の人気が凋落傾向にあることや予備試験受験者数の高まりなどを受け、近年では法科大学院の入学希望者数は全体として減少傾向にある。本学も入学希望者数は開校以来漸減しており、2004年開校時の入学希望者数1205名に対し、2016年では294名まで減少している。滝沢氏は「法科大学院の中で学生に対し厚い教育を与えることも大事だが、司法職そのものの人気を今一度押し上げる必要がある。大学入学以前の学生に、どのようにして法学に興味を持ってもらうかが、我々の最大の関心事だ」と語った。

 

※1 既修者コース・・・法科大学院が実施する法律基本科目試験に合格した者が入学できる二年間のコースで、おもに法学部出身者が入学する。

※2 未修者コース・・・憲法、行政法などの法律基本科目を初歩から段階的に三年間で学習するコースで、おもに法学部以外の学部出身者が入学する。