9月27日、安倍晋三元首相の国葬が日本武道館で行われた。当日、本学は特別の措置を行わず、通常通り稼働した。また、本件国葬に際して、院生自治会から学長宛てに、国葬の実施と本学からの弔意の表明に反対する要望書が提出された。
本学広報室によると、中野学長は招待を受けたものの、スケジュールがすでに埋まっていることを理由に出席しなかったという。また本学は、国葬当日、安倍氏への弔意を示すような特別な措置を取らず、2020年の中曽根康弘元首相内閣・自由民主党合同葬儀とは異なり、半旗の掲揚も行わなかった。
また9月22日、院生自治会は学生支援課を通じて、中野学長宛てに、「故安倍晋三元首相の『国葬』実施と大学の弔意表明に反対する要望書」を提出した。本要望書は中野学長に対し、一橋大学学長として国葬実施反対の意思表示を行うこと、および大学としての弔意の表明を行わないことを求めるもの。フォームを用いて賛同者を募ったところ、計492人(院生234人、卒業生40人、学部生19人、教員6人、職員1人、学外の方192人)が賛同した。
本要望書提出の経緯やその趣旨について、院生自治会理事の小島雅史さん(社研博士課程)に話を聞いた。院生自治会には、2020年の中曾根康弘元首相の合同葬にあたって政府から本学に要請された半旗掲揚に対する反対活動を行うなど、思想・良心に関する問題に取り組んできた前歴がある。これを踏まえ、今回の問題に対しても院生自治会として声を上げることにしたという。小島さんは本要望書の趣旨について、本学に責任と自覚ある行動を求めるものであるとした。本学は一橋大学研究教育憲章において、民主主義的な社会の発展に寄与する「豊かな教養と市民的公共性」を持つ人々を送り出すという理念を掲げている。小島さんは、そんな本学が今回政府に協力する姿勢を見せることで、誤ったメッセージを学内構成員や社会に与えることを懸念しているという。なお、10月15日時点で、大学側からの回答はない。