手話が共通言語となる国内初のサイニングストア『スターバックスコーヒー nonowa国立店』が6月に国立駅構内にオープンした。店舗ではろう者と聴者のパートナー(従業員)がともに働いており、手話を用いてのコミュニケーションが行われている。そのため、聴者だけでなく、ろう者も利用しやすいようになっている。
注文は手話、ジェスチャー、指差し等を交えて行われており、筆談も可能だ。店内では注文や商品受け取り時に役立つ手話の紹介も随所で見られる。現在は感染症対策として透明のフェイスシールドを使用しての接客を行っている。透明のフェイスシールドはマスクではわかりにくい口の動きをわかりやすくするための配慮だ。また、レシートや従業員のエプロンに印刷されているSTARBACKSの文字も指文字(ASL:American Sign Language) を使って表されている。
スターバックスは以前からろう者の従業員による活動として、「手話カフェ」や「手話によるコーヒーセミナー」を実施していたが、手話を共通言語とするスターバックス店舗は国内初。また、サイニングストアの日本における開業というアイデアは、従業員の声から生まれたものである。サイニングストア自体はマレーシアに2店舗、米国に1店舗、中国に1店舗あり、それらの経験を参考に経営が行われている。また、インクルーシブなまちづくりを理念に掲げ、近くにろう学校もあることから理解のある街として、国立が選ばれた。
『スターバックスコーヒー nonowa国立店』について、スターバックスコーヒージャパンのCEO、水口貴文氏は以下のように述べている。「店舗のコンセプトは“Infinite Possibilities(無限の可能性)”。私たちパートナーの夢を店舗という形にしました。聴覚に障がいのあるパートナーやお客様にとって、ありのままの自分で居られる場所であり、障がいのある若者にとって夢や未来を描ける場所、そしてこの店舗を訪れた誰もが新たな気づきを得られる場所になればと考えています」