本学は創立150周年記念プロジェクトの一環として、来年度以降の学部新入生のうち、女子学生または東京圏外出身学生50名を対象に、家賃を一部補助する「住まい支援制度」を実施すると発表した。
制度導入の背景には、学部生に占める女子学生や東京圏外出身学生の割合が低いことがある。とりわけ女子学生については、経済学部や新設のソーシャル・データサイエンス学部では1割超に留まり、全学部でみても3割に満たない(23年5月現在)。文部科学省の「令和5年度学校基本統計」によれば、国内の大学全体で、学部学生に占める女子学生の割合は45・7%であることから、他大学と比べても低い状況にあることがわかる。こうした現状を踏まえ、本制度を導入することで、女性をはじめとする多様な受験生に本学を目指してもらい、学内のダイバーシティ推進につなげることが狙いだ。
具体的な支援内容としては、来年度以降に本学学部に入学する新入生のうち、⑴女子学生、⑵東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県以外の道府県出身の学生、の2つの条件のいずれかに該当する50名を対象に家賃補助を行う。ただし物件は本学が指定する民間物件に限り、補助金額は月額3万円、年額36万円を限度とする。支援期間は入学から最長2年間と定める。申請期間や申請手続き、物件情報などについては、詳細が決まり次第、本学ウェブサイトで発表するという。
このように本学でも、学内のダイバーシティ推進を目的に、女子学生の割合を高めようとする制度が始まった。マイノリティである女子学生を増やすための取り組みとしては、こうした家賃補助制度以外にも、入学試験において女性のみが出願できる「女子枠」の設置が挙げられる。これに関連して本紙は、「女子枠」を導入する予定はあるかを本学担当者に尋ねたところ、導入の予定はないとの回答を得た。担当者はその理由として「入試の公平性を考慮し、入試以外の方法で女子学生を増やす取り組みを行っているため」と説明する。
「女子枠」は、女子学生の比率が少ない傾向にある工学系、理学系の学部を中心に、近年導入する大学が増えている。その一方「学力を測る入試において、性別という学力以外の要素で区別するのは不公平だ」といった批判も根強い。多様性に配慮しつつも、多くの人の理解を得られるような制度設計を進めていくことが、本学を含めすべての大学に求められているといえる。(なお本紙では、以降数回にわたり「女子枠」に対する本学教授や学生、受験生の意見を詳報する。)