来年度以降の学生担当副学長の任命に際し、従来行われてきた複数候補者からの選考手続きが廃止されることが分かった。沼上幹副学長(教育・学生担当)が、3月27日に行われた学生との会合で明らかにした。学生担当副学長は、他の副学長と同様に学長が単独で選任することになる。また、これまで教職員の協力を得て行われてきた学生による除斥形式の参考投票について、今後大学側は関与しない方針であることも明らかになった。沼上副学長は廃止について、昨年改正された学校教育法と国立大学法人法に対応する措置だと説明している。

 沼上副学長によると、3月23日に行われた役員会(※)において、「副学長選考に関する要項(学長裁定)」の廃止が決定されたという。要項では、学生担当副学長の選考は学長(同時期に学長が交代する場合、次期学長予定者)を議長として設置される副学長選考委員会の意見を聞いた上で、学長が行うとしていた。選考委員会は複数の候補者を公示し、選出までに4週間以上をおくことが定められていた。また、学生の参考投票は、過去に大学側と学生側が結んだ合意文書(確認書=大学の意思決定に対する拘束力を持つとされる)に基づき、教職員の協力を得て実施されてきたもの。候補者の公示から選出までに設けられた4週間の中で実施されていた。

 要項の廃止と関連規則の改正により、学生担当副学長は今後、選考委員会が複数の候補者を公示する形式をとらず、他の副学長と同様に学長が単独で選任することとなる。これに伴い、大学側は過去の確認書に背いて参考投票への関与をやめる意向だ。

 今回の措置について沼上副学長は、昨年改正され今年4月1日から施行される学校教育法と国立大学法人法に対応するものと説明している。法改正は、大学における学長の権限を実質的に強化するためになされたもので、学内の最終意思決定権を学長に一本化することが強調された。しかし、法改正で見直しが求められているのは、具体的には①教授会の役割、②副学長の職務内容、③学長選考に関する規定の3点のみで、副学長の選任方法についての言及はない。役員会は、副学長選考委員会の存在が、学長の持つ副学長選任に関する決定権を妨げるものと独自に判断し、要項廃止に踏み切った形になる。参考投票に関しても、除斥が成立すれば実質的に学長の決定権に影響を与えることが問題視されたとみられる。

 学部自治会は、今回の制度改廃が「(すでに決定したこととして)唐突に行われたことは残念」としている。今後も学生担当副学長の選任に際し、公開質問状の作成と自主的な除斥投票の実施は継続してゆく考えだという。また院生自治会は、制度の変更が学生に対して事後報告となったことなどについて、「一橋大学の『三者構成自治(※)』の原則を根底から覆す事態だと認識している。大学の姿勢は決して受け入れられない」とコメントした。

※役員会……学長や副学長など、大学の理事から構成される会議。大学の「運営その他必要な事項について定める(役員会規則)」

※三者構成自治……学生・教員・職員が大学自治の担い手であるとする考え方。本学は戦後一貫してこの姿勢を維持してきた。

(下図)制度変更のポイント

副学長の図