大学通りの桜紅葉が、初冬の訪れを告げる。そんなここ国立はおいしいパン屋の激戦区として有名だ。本紙では、実際に記者がパン屋をめぐって考えた三つのルートを紹介する。なお、パン屋めぐりには今回紹介する店舗の定休日を外した金曜日と土曜日がおすすめだ。

 

ルート①(所要時間44分):

 西キャンパスを北門から出るとすぐに、MAGOME国立店が見える。米粉のモチモチ感が楽しいパンは、日本テレビ『スッキリ!!』で紹介されたこともあるという。人気の「黒米ビーフカレー」も米とカレーということで相性バッチリだが、「発芽玄米パン」は繊細で柔らかく、お米の素朴な風味と甘味を楽しめるのでおすすめ。日・月定休。
 そのまま直進すると左手にアカリベーカリー、ユニコーンベーカリーが見えてくる。どちらも国立では説明の必要がないほどの有名店だ。
 アカリベーカリーでは人気が高い「亜麻仁エピ」をいただいた。「日々食べるパン」をうたう優しい味は、技術の高さをうかがわせる。日・月定休。
 ユニコーンベーカリーは、外国の家庭的な焼き菓子を多く取り扱っているお店だ。いただいた「チョコブラウニー」と「レモンバー」は、どちらもギュギュっと凝縮された甘さでとても紅茶に合う。外装・内装もおしゃれでかわいらしく、訪れた店の中では最も「国立らしさ」を感じた。日・水・木定休。
 国立駅から旭通りを進むと、お昼の時間帯は主に若い女性が行列を作っているのが見える。こちらも有名な、柿屋ベーグルだ。プレーンベーグルのもったりつまった生地は、噛んでいると小麦の香りとほのかな甘さが心地よい。ほうれん草とチーズ味もとても食べやすくおすすめ。行列必至だが、ベーグルのイメージをひっくり返してくれるだろう。火・水定休。
 そのまま行くと食パン専門店L’ESPRITがある。地産地消にこだわり、国立産の食材を盛り込んだパンは日替わりで提供され、いつ来ても飽きない工夫がされている。無添加・卵不使用の点も安心で、食パンの風味も格別。いただいた「くるみブレッド」は素材の良さが詰まっていて、普段食べている食パンとの違いに驚いた。本学ラグビー部もよく利用するという、国立でしか食べられない味。木定休。

 

+ルート②(所要時間60分):

 アカリベーカリーから国立駅を北に抜けると、隠れた人気店、ベーカリーハ―スがある。昼間に売り切れることも多く、残っていた中でおすすめされたのは、珍しい北欧風の「シナモンロール」。しっかりとした甘い生地をほおばると、芳醇な香りが口いっぱいに広がる。やや歩くが、訪れる価値は大いにアリ。日・月・木定休。

 

+ルート③(所要時間2時間超):

 L’ESPRITから谷保駅方面へしばらく歩くと、大学通りにパン・ド・カンパーニュが見える。おすすめされた「三色パン(秋限定)」をいただいた。ふわふわした生地と季節感のある具材と、かわいい見た目でも楽しめる。「アップルパイ」も堅実に作りこまれていて高評価。また、この店は非常にボリューミーなパンを売っていることも大きな特徴だ。驚くこと間違いなしなので、ぜひ実際に見ていただきたい。月定休。
 そこから西に歩いていくと、左手に焼き立て食パン専門店一本堂とプチ・アンジュの国立店が見える。一本堂は多種類の焼きたて食パンを取りそろえており、この店の特徴は「立方体のため短い加熱時間ですみ、ミミまで柔らかい」ことだという。選んだのは「塩食パン(夏限定)」。軽い口当たりとシンプルながらも深い味わいで1斤丸々いただけた。月定休。
 プチ・アンジュは幅広い品ぞろえが特徴的。「復刻スペシャルバーガー」はアボカドとベーコン、トマト、パテ、レタスがマッチし、ハンバーガー屋に並ぶクオリティを誇る。そんなこの店は、パンを選ぶ客がみんなうれしそうな顔をしていたのが非常に印象に残った。木定休。
 最後に国立駅方面に戻ると、ドイツパン専門店のベッカライしゅんたがある。スタンダードな「ラオゲンプレッツェル」はハードな食感と非常に強い小麦の香りが特徴的で、一度食べたらやみつきになる味。国立では異色なパンと落ち着いた店内の雰囲気は、ぜひ一度訪れるべき。日定休。

 国立のパン屋はどれも個性的でこだわりを持っており、ここではその魅力をとうてい伝えきれない。また、実際にパン屋をめぐる道中で、国立の良さをいくつも見つけられた。昼休みの45分、寒いからとキャンパスに閉じこもらずに小さな旅に出てみるのも面白いだろう。この街を再発見する一助になれたら、これ以上嬉しいことはない。

 

※国立市内全てのパン屋を掲載しているわけではありません。メニューは取材当時のものとなります。また、各店の滞在時間を3分として計算しています。