本学でワクチン接種 留学予定者の動向は

 本学は正式に東京都のワクチン接種推進の取組に全面協力することを発表し、7月には東京医科歯科大学にて今秋から海外留学を予定している本学の学生を対象に第1回目のワクチンの優先接種が行われた。
 今回、留学予定者のワクチン接種に関する本学の動向、学生の心境、そして昨年の中止を受けて今年度の留学も断念した学生の現在を取材した。

兼松講堂に設置されたワクチン接種会場

 学生を対象とするワクチン接種で期待できることの一つには、コロナウイルスの流行に伴い昨年度から留学の延期・断念を余儀なくされていた学生や、留学を考えている学生が海外に渡航できる可能性が高まることがある。10月からウィーン大学への留学を予定している神崎さん(社3)に話を聞いた。

 神崎さんは、留学を10月に控えた現在、前向きな気持ちと不安が入り交じっていると語る。新型コロナウイルスが未だ収束していない状況での海外留学となるため、留学予定生には7月6日に第1回目の、8月3日に第2回目のワクチン優先接種が行われることが大学から通達された。また、万一留学が中止になった場合のために、1年間延期して半年間の留学を代替措置として行う等の方針がとられているそうだ。しかし、ワクチン接種の問題をクリアしても万事解決というわけではない。すでに他学生が予定していた豪州の大学等は今年度の留学を中止しているそうで、今回取材した彼も留学へ行く予定で留学先の大学とコンタクトをとっているが、最終的に出発が可能かは現時点(6月末)では決定していないそうだ。神崎さんは、現時点で留学へ行く希望があることはポジティブに捉えつつも、その一方で留学の可否が決まる時期が出発の直前になることに懸念もあると語った。

 また、留学が再開しても、様々な都合から渡航を辞退せざるを得ない学生もいる。2020年の9月よりアメリカに留学を予定していた田畑さん(商4)は、同年の5月に大学から留学中止の知らせを受けた。本学は留学できなかった学生向けに延期の希望をとり、すでに受験していたTOEFLの再受験免除といった優遇措置を行うなどの対応を進めた。しかし、田畑さんは当初延期希望であったものの、就職活動の予定との兼ね合いで留学を辞退せざるを得ず、渡航が可能になった後も留学に行く予定はないという。田畑さん以外にも留学先の大学や内定先の企業の方針によっては留学・就職の延期ができず、同様のケースもあるそうだ。

 田畑さんは、本学の対応について、通達の早さと、中止後のケアから、適切なものだったと振り返る。「大学当局は20年5月の段階で中止を通達してくれた上、その後もメールや電話で親切に対応してくれました」と述べる。「留学希望者の意見交換のためのワークショップを複数回大学主催で開催してくれたおかげで、不安が解消されました」と大学側の対応を高く評価した。

 一方、神崎さんは取材中、留学に行くことができるのかどうかという大学側の判断が未だ分かっておらず、状況によっては直前に中止になる可能性もあることに対して「不安はある。もう少し早く対応してくれたらいいなとは思います」と漏らした。