本学では日本人だけでなく、留学生を含めた外国人も多く学んでいる。キャンパス内を歩いていると、多様な言語で話す外国人学生を見かけることがよくあるだろう。しかし「言語の壁」が高く、コミュニケーションを取ることが難しいという読者も多いかもしれない。そこで本紙は彼らの考えや素顔を知ってもらうべく、本学に来てくれた2人の留学生にインタビューした。日本、そして本学を留学先に選んだ理由や、日本での思い出などを語ってくれた。
<アメリカ出身>Tyler Hongさん
On November 7, 2024, at Hitotsubashi University’s Kodaira dormitory, we conducted an interview with Tyler Hong, an exchange student from America who has been staying in Japan for four months. In this article, we are going to share Tyler’s life in Japan with Hitotsubashi University’s students.
―Why did you choose Japan for your exchange program?
I chose Japan because I’m interested in the culture. Well, first of all, I knew I wanted to stay in Asia, and then I became interested in Japanese culture, including media such as anime and music.
―Then why Hitotsubashi University?
I wanted to come during the summer, so during that period, my school only offered a few programs, including Hitotsubashi and ICU (International Christian University). After doing some research, I found that Hitotsubashi has a good economics program and is known for it. As an economics enthusiast, I thought it would be a good fit.
―Have you ever experienced any culture shock? Or what’s the difference between Japan and America?
I feel like there are many cultural aspects of Japan that are different. I actually like how people are more respectful and keep to themselves; they are really quiet, especially on the train. It’s very nice and very safe walking around. I guess that was a kind of culture shock. For example, when I first arrived, I was staying in Shinjuku and had to walk for about 15 minutes from my hotel to the main areas. It was completely safe, and I didn’t need to worry at all. That was different and really nice.
―What have you done in these four months?
I tried to do a lot of traveling. I went to many different places, such as Osaka, Nagoya, Kagoshima, Kinosaki Onsen, Mount Fuji, Kamakura, and so on. I also tried hiking Mount Takao.
―You have traveled to so many places; which one is your favorite?
Before coming to Japan, I thought I would enjoy big cities like Shinjuku, Tokyo, or Osaka. However, there’s not much else to do there; you just see the famous spots of the city. But ultimately, those are just malls and shopping streets.
My favorite place is Kinosaki Onsen. I like there because it’s a small onsen town, and I stayed at a ryokan. I would just walk through the streets, and everyone was wearing their kimono. That’s the image I would expect of Japan.
―What’s the most valuable experience you gained during your exchange?
Being alone a lot—in a good way, especially during solo traveling. It’s really different not having anybody to rely on and also not speaking the language; you are kind of stranded. I think it’s a really unique experience for all of us, as we get to have new shared experiences.
―Have you started anything new?
I started rock climbing because Japanese rock climbing is among the best in the world. So, I wanted to experience what their techniques are like.
―Let’s talk about your school life. How are the classes? What are the differences between American and Japanese universities?
The economics classes I’m taking here are at the graduate level, which is pretty awesome. The Japanese professors are really into making the classes interactive, but since most of them don’t give out detailed syllabuses, the classes can feel a bit all over the place and tough to follow. I’m more used to having structured outlines and recorded lectures back home, so I usually just stick to watching the lecture recordings when needed.
Personally, Hitotsubashi University is a lot smaller. The class sizes are smaller; there are only around 15 students in my classes. Besides, the class period in Hitotsubashi university is longer compared to my host university.
Overall, it’s a different experience that differs from what I experienced back in the US.
―What difficulties have you faced during these four months?
Probably the language barriers. I did join a club. They’re nice, but they don’t take the next step in building a deeper connection.
―Did they treat you like a foreigner?
Yeah, but the club also has a certain level of commitment that’s different for regular students compared to exchange students. I only need to show up once a week, while regular students are expected to attend almost three times a week. Since we’re not attending as often, I also feel like some of the other foreign students I’ve met, who are going more frequently than I am, felt the same way—it was hard to form a connection with the Japanese students.
【和訳】
本紙はアメリカからの交換留学生として本学で学んでいるテイラー・ホンさんにインタビューを行った。テイラーさんは日本に滞在して4か月になったという。
――どうして留学先に日本を選んだのですか?
私は日本文化に興味があったので日本を選びました。まず、アジアに滞在したいと考えていたのですが、次第にアニメや音楽などの日本文化に興味を持つようになりました。
――それでは、なぜ本学を選んだのですか?
私は夏に渡航したかったのですが、その時期に私の大学が提供していたプログラムは、本学と国際基督教大だけでした。調べてみたところ、本学は経済学のプログラムが充実していることで知られており、経済学に興味がある私にはぴったりだと思いました。
――両国を比較して、どのような違いを感じますか?
多くの文化的な違いがあると感じていますが、特に、人々が礼儀正しくて、お互いに干渉しないところが好きです。電車内でもとても静かで、とても快適です。また、街中を歩いていてもとても安全だと感じました。一種のカルチャーショックでした。例えば、最初に新宿に滞在したとき、ホテルから主要なエリアまで15分ほど歩かなければならなかったのですが、全く心配する必要がなく、素晴らしい体験でした。
――この4か月間で何をしましたか?
たくさん旅行をしました。大阪、名古屋、鹿児島、城崎温泉、富士山、鎌倉など、さまざまな場所に行きました。また、高尾山にも登ってみました。
――これまでに訪れた場所の中で、一番のお気に入りはどこですか?
日本に来る前は、東京や大阪などの大都市が好きだと思っていましたが、実際にはそれほど特別なことはなく、ただ有名なスポットを見て回るだけでした。結局、それらはただのショッピングモールや商店街です。
私のお気に入りの場所は城崎温泉です。小さな温泉街で、旅館に泊まりました。街中を歩くと、みんなが着物を着ていて、それは私が日本に対して期待していたイメージでした。
――交換留学中で一番貴重な経験は何ですか?
良い意味で、一人で過ごす時間が多かったことです。特に一人旅をしていると、誰かに頼ることができない状況や言葉が通じない状況で、ちょっと取り残されたような感じがします。これは私たち留学生全員が共有できる初めてでユニークな体験だと思います。
――何か新しいことを始めましたか?
ロッククライミングを始めました。日本のロッククライミングは世界でもトップクラスなので、その技術を体験してみたかったのです。
――大学生活についてお聞きします。授業はどうですか? アメリカと日本の大学の違いは何ですか?
ここで受けている経済学の授業は大学院レベルで、とても充実しています。日本の教授たちは授業をインタラクティブにすることにとても熱心ですが、ほとんどが詳しいシラバスを提供してくれないため、授業がちょっと散漫に感じられ、ついていくのが難しいこともあります。私は構造化されたアウトラインや録画された講義に慣れているので、必要に応じて講義録画を見ることが多いです。
個人的に、一橋大学はかなり小さいと感じます。クラスの規模も小さく、私のクラスには15人ほどしかいません。また、一橋大学の授業時間は、私のホスト大学と比べて長いです。
全体的に見て、アメリカでの経験とは異なる、独特な体験だと思います。
――この4か月間で直面した困難は何ですか?
たぶん、言葉の壁です。サークルに参加したのですが、彼らは親切である一方で、深い関係を築くには至っていないと感じています。
――外国人として扱われたと感じましたか?
そうですね。ただ、サークルには正規学生と交換留学生で異なるコミットメントのレベルがあります。私は週に1回しか出席する必要がありませんが、通常の学生は週に3回ほどの参加が期待されています。私が頻繁に参加していないためか、他の外国人学生、特に私よりも頻繁に参加している人たちも同じように感じているようで、日本人学生とのつながりを築くのは難しいと感じています。
<台湾出身>エリック・チェンさん
留学生インタビューの2人目は、台湾出身のエリック・チェンさん。エリックさんは日本を留学先に選んだ理由として、日本語を勉強したいと思ったことや日本の文化、日本の食べ物を挙げていた。また、エリックさんは元々マーケティングに興味関心を抱いており、商学部を看板学部として掲げている本学を留学先として選んだとのこと。
エリックさんは日本に来て、日本の男子が台湾よりおしゃれなことに驚いたと語った。また、日本の鉄道運賃の高さにカルチャーショックを感じたとのことである。台湾の地下鉄であるMRTは3駅で100円程度なのに対し、日本の電車は1駅でもそれより高いことに驚いたとコメントしていた。
日本に来てからの4カ月間でエリックさんは大阪、箱根、熱海に旅行し、留学生活の思い出として、日本で仲良くなった台湾出身の人と一緒に旅行に行ったことや、牛タンに舌鼓を打ったことを挙げていた。また、日本に留学した際には旅行をした方がよいと述べるなど、旅が好きな一面をのぞかせた。
ゲイであると周囲に明かしているエリックさんは、日本のLGBTQに対する態度について「台湾より保守的。表面上は態度に出さないけれど、内心距離を置かれているように感じる」とコメントし、本学のLGBTQに関する取り組みについては「台湾大学にはLGBTQの人たちのサークルがある。そうした外部の人たちを招いた活動をするのがいいと思う」と提案した。
最後に、留学生活中にしておいた方がよいこととして、エリックさんは旅行のほかに日本の学生と関わることを挙げていた。しかし、日本人と留学生の間には言語と文化の壁があるだけでなく、日本人も留学生も履修することができる授業が少ないため、日本人と関わるのは難しいとも語った。