近年、多様性を尊重する風土が社会で形成されつつある。そんな潮流の中で、本学も今年3月、「一橋大学ダイバーシティ・エクィティ&インクルージョン推進宣言」を発出した。また本学には、多様性の尊重される大学づくりを推進する機関である「ダイバーシティ推進本部」と、その執行機関である「ダイバーシティ推進室」(以降、推進室)がおかれている。 本紙では、先述の宣言の発出に伴い、具体的な活動について、推進室を取材した。
 先述の宣言は、多様性の尊重、公平性の確保、包摂性の実現の3つを掲げたもの。さまざまな属性の人々が差別を受けることなく、その個性を尊重され、快適に活動できる場としての大学づくりを目指す。ダイバーシティ推進本部及び推進室には、今後、宣言内容を具体化する活動が期待される。
 推進室は本学の東プラザ一階に位置しており、子育てと両立する研究者や学生のために、おむつ交換台や授乳室を設置している。スタッフが2名常駐し、平日は9時30分から16時30分まで開室しており、現在でも多くの学生・教職員が利用している。また、ベビーシッター利用支援事業では大学がベビーシッター利用補助制度の窓口となる。加えて、本学では育児以外の様々な多様性を持つ人たちに対する事業にも取り組む。例えば、国籍・文化・宗教の多様性を尊重するために、今夏には「個人の信仰に基づき礼拝をおこなう場所」として、礼拝堂を設置する計画だ。
 今後の活動について、推進室は「多様性尊重のための取り組みは当室だけで完結することはできず、各部局との協力が必要だ、当室は取り組みのハブとしての役割を果たしたい」と意気込む。また、学内の多様性確保のためには、推進室の存在が利用者以外にも広く知られる必要があるとの意識のもと、教育プログラムと連携して積極的なダイバーシティ啓発活動を模索していく考えだ。
 最後に本学関係者に対するメッセージをいただいた。推進室担当者は「ダイバーシティ推進室は、フリーサロンやメンタリングなど、参加型の企画も実施していますので、まずは気軽に見学にきて、皆さんの声をお届けいただけましたらと願っております」として、学生に対し、推進室の活用を呼び掛けた。

 

ダイバーシティ推進室の外観。推進室は、東プラザ1階に設置されている。