92秒ポスターくにたちアートビエンナーレ(※)の一環として「92TOUCH くにたち掌編映像展」が7月から開催されている。この映像展では本学OBをはじめ、国立や多摩地域に縁のある12組の作家それぞれによる92秒間の作品が上映され、上映後には来場者同士が感想を共有し交流できるワークショップも行われている。この企画・運営に携わる本学OBの間瀬英一郎さんに映像展に込めた思いを聞いた。

―くにたちアートビエンナーレで映像展をやろうと思ったきっかけは何ですか

 まず、一橋大学映創会に在籍していた当時から、いつか国立で映画祭を開催したいという思いを持っていたという個人的な原点があります。当時は一学生に過ぎず、すぐに実現することは叶いませんでしたが、今日まで夢として持っていました。また、今回のビエンナーレの内容は当初、野外彫刻展のみの開催でした。しかしながら、市民公募で集まったビエンナーレの実行委員から様々な分野のアートを盛り上げるべきではないかとの声が上がり、主催のくにたち文化・スポーツ振興財団にお願いをして、彫刻以外のアートイベントも開催できることになりました。私は映像分野を得意としており、個人的な思いもあったため、今回の映像展の企画を提案し、実現することになりました。かつての映創会のメンバーも、映画監督、テレビのディレクター、映像作家など、各分野で活躍しており、出品作家として迎えるにふさわしい良いタイミングでした.

―「92TOUCH」という題名は間瀬さんのアイデアですか

 はい。92は国立の「くに」、TOUCHは「たち」というダジャレになっています。92は作品の秒数、TOUCHには「触れる」「ふれあい」「作品のタッチ」など、様々な意味を含ませています。くにたち掌編映像展という正式名称も「掌」の字をTOUCHのイメージとつなげるとともに、国立市が日本で4番目に小さい市であり、手のひらサイズということでネーミングしました。

―映像展のコンセプトについて教えてください

 最近は誰もがスマートフォンで気軽に映像を撮影して、ソーシャルメディアで簡単に共有・視聴することができるようになっています。そういう時代状況の中で、プロの映画監督や映像作家は何を撮るのかというのがコンセプトです。

 また、映像展を企画するにあたって、二つのことを大切にしました。一つは、来場者の創造性を触発する催しにすること。もう一つは、来場者同士がコミュニケーションを図り、ふれあいが生まれる場にすること。この二つの要素を満たした映像展にしたいと思い、プログラムを作りこみました。普通の映画館ではせっかく一カ所に集まって同じ映画を見ても、お客さん同士は何事もなく解散してしまいます。この映像展では、単に作品を観るだけでなく、そこでふれあいが生まれ、そのつながりから何か新しいクリエイティブなモノやコトが発生することを熱く期待しています。


※2年に一度国立で開催される芸術祭。2015年始動。

「92TOUCH くにたち掌編映像展」
開催日時:7/19 8/2,16,30
13:00~/16:00~ 二回上映
会場:リトマス(東1-4-6国立商協ビル2F)
入場無料
HP:http://92touch.tokyo/