オンライン講義の現場の声に焦点を当てる本連載。2回目の今回は、非常勤講師の声を取り上げる。本学で「スポーツ方法Ⅰ」を受け持つ笹生心太東京女子体育大学准教授と、「ドイツ語初級」「ドイツ語圏地域文化論」を受け持つ山室信高東洋大学准教授に話を聞いた。
まず両准教授が共に謝意を示したのが、各研究室が大学と講師の間で果たしたクッションの働きだ。笹生准教授は「オンライン講義に必要なウェブカメラの手配など、スポーツ科学研究室のきめ細かいサポートに助けられた」と話し、山室准教授は「大学の方針を受けて、ドイツ語エリアの先生方が学期開始前にこちらの事情に応じてケアしてくれたことが大きかった」と述べた。
笹生准教授は、経済的補償の側面についても、大学の姿勢を高く評価した。具体的には、講義回数の減少分の減給がなく例年同様13回分の給与が講師に支払われた点や、Zoomの有償アカウント購入費用を大学負担とした点だ。また、Zoomをはじめとするオンライン講義のインフラとなるツールに関するマニュアルについても「迅速に作成され、質も良かった」と振り返った。
一方で、笹生准教授は大学の対応の問題点として、意思決定の遅さを指摘した。「4月上旬にオンラインでの開講が決定したが、もっと早く決断できたはずだ。特に、同時に5~6つの大学で非常勤の科目を受け持っている講師は、各大学のシステムに合わせて設備を整え、各システムに習熟する必要がある。それが大きな負担になったのではないか」