【オンライン講義 現場の声】スポーツ方法Ⅰ

全学一斉オンライン講義が開始して早2ヶ月が過ぎた。本紙では、連載形式で教員の対応に焦点を当て、現場の声を聞いていく。第1回となる今回は、実技科目のためオンラインでの開講が難しい「スポーツ方法Ⅰ」を取り上げる。同科目を担当する岡本純也准教授(経営管理研究科)と非常勤の笹生心太東京女子体育大学准教授に取材した。   

 岡本准教授によれば、スポーツ方法を担当する専任教員が話し合いを始めた時点では、全ての「スポーツ方法(春夏)Ⅰ」を休講とすることも視野に入れていたという。しかし、この状況下でこそ、スポーツや健康、身体について考え、正しい知識で対応できるようにする授業が必要だと考えた。「インターネット上にあふれかえっている情報を、心身の健康のためにどう利用するかを学んでほしい」。そうした方針のもと、今年度は「スポーツ方法(春夏)Ⅰ」全てで10回の授業のうち3回分を、学校医とカウンセラーの協力によるオンデマンド講義とした。新型コロナウイルスの概説にとどまらず、今後の感染症全般への対応の考察にも踏み込んだ。呼吸法のレクチャーなど、メンタルヘルスやストレスマネジメントに関する内容も取り扱う。精神科を専門とする丸田医師の授業では「国や都の政策のような、コントロールできないものに集中ばかりしていると心が疲れる。睡眠や運動など自分ができることに目を向けるのが大切である」と強調された。

 教員ごとに異なる内容となる残り7回分は、リモートという条件下で最大限満足度の高い授業を提供しようとする各教員の意向が前面に出ている。  
 レクリエーションの種目を開講した笹生准教授は、今年は身体接触を伴う運動ができない分、学生間の交流に重きを置いた。「自宅近辺を散歩して、お題に合ったものを見つけ、オンラインで共有して楽しむなど、少人数で和気あいあいとした雰囲気の授業を行いました」。お題の中には「トラウマになりそうなもの」など一風変わったものも。結果として、サークルなどの交流の場に飢えていた学生たちは予想以上に積極的な意見交換、質の高いプレゼンテーションをしてくれたという。