一橋生なら、灰色の作業服に袖を通したおじさん達が、おもむろに大学構内の自転車を整理している場面に出くわしたことがあると思う。彼らはどこからやってきて、なぜ自転車を整理しているのだろうか。西講義棟前で作業中の玉井昌夫さんに話をきいた。
――皆さんは、どこの組織に所属していらっしゃるんですか?
国立市のシルバー人材センターから派遣されてる。
――大学通りで自転車整理をされている方々とは別なんでしょうか?
あれはまた違うんだよね。我々は一橋の構内の、自転車整理をやってる。
あとね、大学が全然(落ち葉を)掃いてくれないからね、ほんとの仕事じゃないんだけど道路も我々が掃くようになっちゃいましたよ。
玉井さん達がいなければあの芳しい銀杏もそのままだったのかと思うとぞっとする。
――玉井さんはいつから一橋で自転車整理をされているんですか?
私はね、足掛け10年くらいやってるかな。もうすぐ80になるんだけどね。定年退職してから、なんか始めようと思って。家にいてもしょうがないから。一橋は木があって夏も涼しいしね。
――一橋生の自転車の置き方はどうですか?
あんまり文句言うと俺たち仕事無くなっちゃうんだけどね(笑)、並んでる自転車の向きと逆向きに停めるのはやめてほしいね。
わざわざ逆向きに停める反骨精神は素晴らしいが、自転車を停めるときには、少し自重したほうがいいかもしれない。玉井さんは学生よりも、むしろ大学に言いたいことがあるという。
あとね、自転車を置くところがね、最近すごく少なくなったんだよね。だからね、自転車置き場をね、もっと広げて欲しいんだよ。
――自転車をきれいに並べるコツとかはあるんですか?
コツはね、木とかね、基準の線を見つけてね、並べるといいんだよね。
たくさんの自転車を綺麗に並べたい時には、皆さんも参考にされたい。
2014度学生生活調査によれば、学生の37・5%が自転車で通学すると回答しており、単純に計算すれば2000台強の駐輪スペースが必要なことになる。それに加え、卒業生が放置していった自転車や、キャンパス内の移動に使われている自転車も限られたスペースを圧迫する。
玉井さんたちがいなければ、私たちはきっと満足に自転車を停めることもできない。構内に自転車を停める際にはぜひ、彼らを困らせず、かといって仕事がなくならない程度に、丁寧に駐輪しよう。