THE IKKYO SHIMBUN

【シリーズ体験入部】クイズ研究会に潜入してみた!

あまりの速さに苦笑いを隠せない記者

 深夜2時、学生会館別館。「ピンポン」と小気味よい音が聞こえる。新聞部部室の上、クイズ研究会だ。彼らはどのようにして〝憶える力〟を養っているのだろうか。普段の活動に参加して、調査する。

 用意された席につき、早押し機のボタンに手をかける。周りには、クイズに参加しながら間違えた問題を紙に書いて暗記している人もいる。……問題文が読み上げられた。「問題。月見うどんの黄身は」ボタンが押される。「雲!」意味が分からなかった。

 一橋クイズ研究会は、「クイズブーム」真っ只中の80年代に設立された。会員は10人(うち一橋生は3人)で、大学からクイズを始めた人も多い。にもかかわらず、初心者から全国レベルまで腕を上げるなど精力的に活動している。大学生以下700人が参加する日本最大級のabcというクイズ大会で、本年度は48人という狭き門をくぐって6人が予選通過した。

 さて、先ほどの問題だが、クイズ大会で頻繁に出題される〝ベタ問〟の一つだ。月見うどんの卵の黄身は月を表し白身は雲を表すという知識は、界隈においては常識だという。また、問題文には「AはBだが、Cは何?」となる、パラレルという構文が使われている。パラレルがうまく成り立つためには、AとCに「黄身と白身」などの関連性がなくてはならない。だが、パラレルか否かは問題文の後半でしか分からないので、「読む」必要がある。……とはいえ、界隈で定番でも一般人にとって定番ではないので、私でも答えられる問題に挑戦させてもらった。「ワシのマークの?」「大正製薬!」今度は答えられた。初めて早押しクイズに正解したが、答えられた時の爽快感は何とも言い難かった。

森川文彦さん

 森川文彦さん(東京学芸大4)も大学からクイズを始めたが、早押し特有の〝自分で解答権を掴みとり、正解する〟爽快感に魅せられ腕を上げたという。暗記法は数あれど、ここに記憶のコツがありそうだ。実践で正解と不正解を繰り返し、競争する高揚・緊張感が味わえるのはクイズならではだ。また、森川さんは「クイズをやっていて良かったのは、色々な問題の対策をすることで話の幅が広がったこと」と話した。暗記が楽しさにつながり、様々な場面で役に立つということが暗記のパフォーマンス向上に貢献するのかもしれない。