【記者の目】公式発表を待つだけでは

 「一橋大学学部協議会」(10日に学部自治会から名称変更)は20日、沼上幹副学長(教育・学生担当)との会合をふまえ、文書をツイッター上で公表した。新学期制について、「新学期制説明会」で副学長が話した内容以外は確定しておらず、流れている情報には不正確なものも含まれているため、副学長の公式な説明を待つように呼びかけている。その「不正確」な例として挙げられているのが、6限導入に関する情報だ。

 本紙は4月号1面の新学期制に関する記事で、「6限導入も検討」と見出しをつけ、「複数の教員の話では、6限目を導入して追試や補講に充てる案も検討されているという」と報じた。昨年度末 頃のワーキンググループや教授会での議論として伝えたものであるが、発行後の取材で、通常授業は5限に収める方針になったことがわかった。4月号の記述では、6限を導入する期間には触れておらず、誤解を招きかねない部分があったことをお詫びする。

 新学期制で学生生活は様変わりする。変えられようとしている内容を、自分の生活に照らし合わせる。納得できない部分があれば声をあげる一方、それに備えて学習計画や生活全般を練り直す。部活動・サークル や新歓行事、学園祭が新制度に対応した体制を整える必要もある。そのためにはまず、制度の詳細を理解することが欠かせない。しかし現状、制度導入が来春に迫るにもかかわらず、9割近くの学生が「大学からの説明が十分でない」と感じている。今後も本紙は正確性に十分配慮しつつ、確定事項と検討内容を明記した上で、どちらも学生に伝えていく方針だ。

 本紙は4月中旬、沼上副学長に取材を依頼したが、説明会の内容以外で答えられる事項はないことを理由に断られている。学生の代表として副学長との会合機会が与えられている学部協議会は、ただ副学長の公式見解を伝えるだけでなく、学生の考えを副学長に伝え、検討事項を含めたさらなる正確な情報公開を要望することが求められる。そのためには、学生から意見を汲みとる場を設けることも欠かせない。

 一人ひとりの学生にできることもある。本紙が取材した教員は、「学生の意見を聞きたい。私はそれを会議で伝えるから」と口をそろえる。それぞれ自分の立場から新制度について考え、身近な教員に伝えるのも、学生の意見を執行部に伝える方法のひとつとなるだろう。立場の異なる教員と話すことで、新たな見解を得られるかもしれない。

 新制度導入まで10か月。学生にも、考えること、声をあげること、備えることはある。その参考になるよう、微力ながら本紙も手助けしたい。どのような制度が確定しようと、待っていては手遅れになるだけだ。