4学期制と新しい学部カリキュラムの17年度導入に向けた動きが活発になっている。2月と4月に開催された「新学期説明会」において、沼上幹副学長(教育・学生担当)が、学生向けに初めて改革の概要を説明した。クラス制度や履修手続き、成績評価など、改革に合わせた制度変更についても、学内で議論が進められている。副学長への質問や教員への取材により、改革の詳細が明らかになった。
4学期制・105分授業
2月4日の第1回説明会では、17年度から現状の夏学期と冬学期をそれぞれ2つに分ける形で4学期制を実施することが発表された。1科目あたり105分13回(週2回)の授業と1回の期末試験で2単位を与えるのが基本となる。欧米の学期制度に合わせて授業と休業の期間を調整するとともに、1学期を7週間に短縮することで、短期留学生の派遣と受入を拡大させることが主な狙いだ。
本紙が入手した、教務課作成の新しい学年暦のイメージは、おおむね現行の夏学期を「S1学期」と「S2学期」に、冬学期を「A1学期」と「A2学期」に分割したものになっている。6月初旬からのS2学期では、同時期に欧米の大学で開講されるサマースクールへの参加を促すため、2年生向けの必修科目を設けないことが検討されている。また、A2学期終了後の1月中旬から3月まで、長期の集中講義期間が設けられる。
学期あたりの授業数が13回に減らされる代わりに、1コマは105分に延長される。沼上副学長は第1回説明会において、1日5コマで1限開始時刻や昼休みの長さを調整した新時間割の6案を提示し、学生生活に大きく関わる時間割については、学生からの意見を取り入れて決定する意向を示した。複数の教員の話では、6限目を導入して追試や補講に充てる案も検討されているという。
4月8日の第2回説明会では、学期数増加と学期期間短縮による事務作業煩雑化を防ぐための制度変更が示された。履修登録は年2回、S1学期とA1学期の第1~2週に2学期分を同時に行う。学期第1週のオリエンテーション期間は廃止し、代わりにWebシラバスを充実させる。履修撤回制度も廃止される。
新カリキュラム・クラス
説明会では、1単位あたりの学習量を増やす「単位の実質化」を目指して、17年度以降の学部入学生については、卒業要件を計124単位、総履修登録上限(CAP制)を年間44単位に減らし、GPA卒業要件を撤廃することが発表されている。16年度以前の入学生については、卒業要件、CAP制は現行のままだが、17年度以降に1単位でも取得した場合、GPAは卒業要件から外される。
現在学内で検討されている新カリキュラムでは、全学部1年生の必修科目「スキル英語」を導入するなど、コミュニケーション能力を重視する英語科目を増やす一方、英語以外の全学共通教育科目は必要単位数を減らす方針だ。特に、商学部・経済学部生の第2外国語は選択制になる予定で、第2外国語の選択に基づいた現行の1・2年次クラス制度は廃止される見込みだ。「スキル英語」の20人程度の能力別クラスを、現行クラス制度の代わりとすることが検討されている。
成績
期末試験は各学期末に実施される。成績は学期ごとに一律に発表するのではなく、各教員が入力次第、学生がリアルタイムで確認できるシステムを導入することが検討されている。しかしS1学期やA1学期に開講される科目の場合、採点時期と次の学期とが重なるため、試験実施から成績発表までの期間が現状よりも長くなる可能性がある。また、S1学期やA1学期の成績を確認してから、直後の学期の履修を組むことはできなくなる。
成績評価基準も改められる。段階数や評価基準の詳細は未定だが、「望ましい水準には達していないが不合格ではない」とされている現行のD評価が見直され、単位を認める最低の評価(名称未定)は合格と認め、2のグレードポイント(GP)が与えられる見込みだ。沼上副学長は、新評価基準の下では単位取得が難しくなる可能性を示唆している。ただし、期末試験を受けなかった場合、「不受験」とみなされGPA換算には含まれなくなる。
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3月に正式発表された本学「中期目標」には、基本的な目標の一つとして「グローバル社会に貢献し得る質の高い人材」の育成が掲げられている。一連の改革は、この目標達成のために進められている。
4学期制導入後、大きな混乱が発生して学習効果を下げてしまうのは許されない。想定される影響を精査し、それぞれに対する入念な準備が求められている。その際、教養教育やクラス、課外活動などが、広い意味で人材育成に貢献してきた点への考慮も、欠かすことはできない。