今月20日、文部科学省は各国立大学が来年度以降6年間で達成を目指す事項を盛り込んだ中期目標・中期計画の素案を公表した。本学の素案には英語教育の拡 充に重点をおいたカリキュラム改革や、GPAを基準に用いた奨学金支給、全学部への推薦入試の導入などが盛り込まれ、大規模な制度改革が計画されているこ とが明らかになった。

 今回公表された素案は、各大学が今年6月末に文科大臣へ提出していたもの。中期目標は文部科学大臣が定めるとされている が、学問の自由や大学の自治などへの配慮から、文科大臣は各大学が事前に提出した案を参考にする。中期計画は法令上、各大学が示された中期目標を達成する ための計画として作成するもので、文科大臣の認可を受ける。

 本学の中期目標の冒頭では、「大学の強みを踏まえた教育課程の体系化のため、全学の 教育理念と各学部のポリシーに沿って教育プログラム改革が恒常的に行われるシステムを構築」するという目標が掲げられた。その達成のため、今年度中に新カ リキュラムを策定して、新しい学士課程の教育プログラムを平成29年度から全面的に実施し、その後2年ごとのPDCAサイクル(※1)によって教育の最適 化を行う計画が示された。また、大学の国際化に対応できる新学期制や、導入学期の創設、他学部科目の履修必修化なども計画として示されている。

 中期目標・計画の中にはグローバル化を意識した英語教育の拡充に関する内容が多数盛り込まれた。「グローバル化に関する目標を達成するための措置」とし て、グローバル・リーダーズ・プログラム(※2)の全学部への拡大、英語コミュニケーションスキル科目の増加などが計画された。また、平成33年度までに 全学年での初年次英語スキル教育を必修化した上で、さらに①短期語学留学、②語学集中研修、③短期海外留学、④長期海外留学、⑤海外インターン、⑥ゼミを 中心とした海外調査・インターゼミ等のうち1科目以上を必修化する計画も記載された。

 また、「多様化する学生に対して機動的かつ抜けのない学 修・生活支援体制を確立する」という目標の下、GPAを奨学金支給のための評価基準に組み込む計画が示された。さらに、「多面的・総合的な入学者選抜を行 う」ことを目標として、多様な評価基準を用いる推薦入試制度を全学部へ導入する計画が記載されている。これは今年6月に国立大学協会が発表した「国立大学 の将来ビジョンに関するアクションプラン」において、全国立大学の定員のうちAO・推薦入試を30%へと拡大する旨が示されたことに関連しているとみられ る。

 今回の素案の公表に際し、多くの大学が計画した人文社会科学系学部などの組織見直しについては、本学では計画されなかった。大学の提出した素案の全文は文科省ウェブサイト(http://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/houjin/1363027.htm)で見ることができる。

※1 PDCAサイクル……計画(Plan)→実行(Do)→評価(Check)→ 改善(Act)という4段階の活動を繰り返し行うことで、継続的にプロセスを改善していく手法
※2 グローバル・リーダーズ・プログラム……「英語スキル科目の必修化」と「海外派遣留学制度」を中核とした、グローバル人材のリーダー格を育成するためのプログラム。現在商学部・経済学部から学生を選抜して実施している。