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対面授業主体に その背景と反響は

 本学は11月8日、来年度の授業方針について「対面授業を主体に実施」すると発表した。またこれと合わせ、来年度以降に履修するオンライン授業科目については、卒業要件に算入できる単位数に上限が設けられるという。本記事では、本学教務課への独自取材で得た情報も踏まえながら、大学の方針について詳報するとともに、これに対する学生の声も取り上げる。
 本学公式ホームページにて発表された「(学生の皆さんへ)2024(令和6)年度の授業方針について」によれば、本学は来年度以降を「ポストコロナ」と位置づけ、授業の実施方針を決定したという。この背景には、5月に新型コロナウイルス感染症の感染症法による分類が、2類相当から5類に引き下げられるなど、社会がコロナ禍から脱却しつつある情勢がある。今年度も、本学では依然として対面授業とオンライン授業の併用がなされ、多くの大学が対面実施を主体とする授業スタイルに復帰する中、慎重な姿勢を見せていた。今回の方針変更は、こうした姿勢を改めたもので、結果的に他大学と足並みがそろったといえる。
 今年度までの授業方針から大きく変更されるのは、次の3点だ。第一に、来年度は対面授業が主体となる。今年度の授業方針が「対面授業とオンライン授業を併用」という表現にとどまっていたことを踏まえれば、全授業に占める対面授業の割合が増加することは明らかだ。ただし教務課によれば「カリキュラムの構成は現在検討段階であり、対面授業の割合は未定」という。また発表では、対面授業の実施を前提としながらも「教育効果を有すると判断された科目」については、オンライン授業単体、あるいは対面授業とオンライン授業の組み合わせにより実施するとされている。本紙が具体的にどのような科目を想定しているのか、教務課に尋ねたところ、授業科目の特性によって違いはあるとしたうえで、次のような具体例が挙げられた。例えばオンデマンドの形態を採ることで、学生が自分のペースで受講し、予復習が十分にできる科目や、Zoomなどのブレイクアウトルーム(参加者を少人数のグループに分ける機能)を活用したライブ授業を行うことで、活発な議論が行えるようになる科目などが該当するという。
 第二の変更点は、卒業要件に算入できるオンライン授業科目の単位数について、来年度以降に履修するものは、60単位までという上限が設けられることだ。これは文部科学省令「大学設置基準」の第32条第5項の規定に従ったものである。ただし、今年度までに履修したオンライン授業科目については、コロナ禍の特例措置により、すべて対面授業で行ったものとして取り扱われる。例えば今年度までで、オンライン授業科目の取得単位数が20単位の人は、来年度以降40単位までしか卒業要件に算入できないのではなく、誰でも等しく60単位まで算入できるということだ。先述の通り、現時点でどの科目をオンライン授業とするかは検討段階だが、60単位の上限があることは考慮されるという。なお大学院の各課程に関しては、上限を設ける法令が存在しないため、特に変更はない。
 第三に、コロナ禍の特例措置として行われていた、継続的な学修配慮が今年度で終了となる。この措置は、出入国制限により入国できない留学生や、本人または同居家族などに基礎疾患がある学生など、対面授業への継続的な参加が難しい学生のために設けられていた。日本への入国制限が解除され、新型コロナウイルス感染症の重症化率、致死率も低下する中、特例措置を継続する必要がないとの判断に至ったとみられる。
 こうした変更は、コロナ禍以来オンライン授業に慣れてきた学生にとって、ある意味では負担となるものである。そこで、実際に学生がどのように感じているかを明らかにするため、本紙は国立キャンパス内で意識調査を行った(実施日時は11月21日火曜日の昼休み、及び3限終了後約20分間、11月22日水曜日の昼休み)。質問は、対面授業主体の方針に対して「賛成(対面派)」「反対(オンライン派)」「どちらでもよい」のどの立場であるかを尋ねるものであり、回答数は70であった。この調査の結果は、賛成29、反対28と、賛否が拮抗する形となった。賛成の理由を尋ねると「対面の方が友達を作りやすい」「先生に分からない部分を質問しやすい」など、学生間、教員と学生間での双方向のコミュニケーションが可能である点を挙げる回答が多かった。一方、反対の立場の人の多くが「家から遠いから」という理由を挙げた。コロナ禍でリモート授業が普及し、あえて通学に長い時間をかけて、授業を受けに行くメリットを見いだせない人もいるとみられる。

意識調査の結果

 3年以上に及んだコロナ禍で、大学はオンライン授業のノウハウを蓄積し、学生の側も柔軟な実施形態に対応してきた。その中で両者とも、対面、オンラインそれぞれの特徴を実感してきたといえる。実際、先の調査で「どちらでもよい」と回答した人は13人に及び、その多くがそれぞれにメリットとデメリットがあることを挙げ、それゆえに選び難いと話していた。「ポストコロナ」を掲げる来年度以降は、コロナ禍で得た教訓を生かしながら、学生にとってよりよい学修環境を提供していくことが、大学に求められる。