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教員宿舎廃止問題 教職員組合「宿舎は大学全体の財産」

 本年2月、教員宿舎の取り壊し、及び教員宿舎規則の廃止が事実上決定され、波紋を呼んでいる。この決定は、教員宿舎制度そのものの廃止と同義であり、強引な意思決定プロセスを問題視した本学教職員組合や居住者らによる反対運動が行われてきた。本紙では、教員宿舎廃止問題の経緯と今後の課題について、本学教職員組合に取材した。
 本学は現在、小平に1棟(全20戸)、国立に3棟(全66戸)の教員宿舎を構えており、取り壊し決定前の段階で小平宿舎には約10世帯、国立宿舎には約40世帯が居住していた。宿舎はいずれも建築から50年近くが経過しており、施設の老朽化が問題となっている。
 大学側は、2021年12月頃、宿舎の耐震検査を実施し、基準値に満たないとして現宿舎を取り壊す方向で調整を始めたと思われる。2022年2月頃、教職員の過半数代表(教職員の過半数が教職員組合に加盟していない場合、大学側は過半数代表と交渉する)に対し、大学側から教員宿舎規則の廃止に関する意見聴取が行われた。3月には居住者向けの説明会が催されたが、その時点ですでに大学側は、現宿舎の取り壊しおよび宿舎規則廃止は決定事項であるとの態度をとっていた。居住者に示された条件も、1年以内の退去、引っ越し代金の補助は一部のみ、などの厳しいものだった。

小平宿舎の様子
(提供:佐藤圭一先生)

 これに対し、教職員組合や居住者は抵抗を見せた。反対派が指摘したのは、意思決定プロセスの強引さだ。現宿舎取り壊しや宿舎規則廃止の是非について居住者への意見聴取などは一切なく、3月の居住者説明会が行われたのも本件が経営協議会(本学の経営に関する意思決定機関)の議題とされた後であった。また、経営協議会において学外委員の反対で決定が保留にされたにもかかわらず、説明会において、大学側は取り壊しおよび規則廃止は決定事項だと主張したという。こうした大学側の姿勢に対し、一部の事務職員や経営協議会の学外委員ら組合外部の人々からも反発があった。反対派は、彼らから情報提供を受けつつ、4学部教授会に反対の意思の表明を求めるなどの活動を続けた。
 これを受け、大学側は条件を修正した。まず、退去期限については2022年11月末を起算日にして3年以内とし、申請をすればさらに6ヶ月の延長も認めるとした。また引っ越し費用については、全額補助する方針だ。なお、現宿舎の取り壊しは確定事項だが、教員宿舎制度そのものを廃止するかどうかについてはいまだ結論が出ていない。
 教員宿舎廃止問題の今後について、佐藤圭一先生(教職員組合・副委員長)が特に重要視するのは、居住者か否かにかかわらず、大学側が学内全体に対し、教員宿舎の今後について説明していくことだ。組合が本学教職員112名(内、宿舎居住者は23名)に対し行ったアンケートでは、78・5%が「大学全体にとって、今後も宿舎を提供することが重要だ」と回答しており、多くの教職員が教員宿舎制度を重要視していることがうかがえる。また、教員宿舎の存在は、研究者が所属大学を選ぶうえで重要な要素だという。若手研究者の中には生活設計が難しく、安価な宿舎を求める人もいる。一人で子育てをしている研究者には、他の居住者と子供を預けあうなどのコミュニティーサポートは重要だという。また、外国人研究者が当座の生活拠点として教員宿舎を利用することも多い。佐藤先生はこうした点を踏まえ、教員宿舎には本学が多様な研究者を受け入れるための戦略資源としての意味合いが強く、その廃止は本学全体の不利益になると指摘し、「学生ほか本学関係者全員に、教員宿舎廃止を本学全体の問題としてとらえてほしい」と呼びかけた。

国立宿舎RB棟の様子。
西キャンパス内に、RA、RB、RCの三棟が並ぶ。