留学生入試不正行為で学部生逮捕 当日受験した新入生を独自取材

 今年1月に行われた本学留学生入試の問題が試験時間中に外部に流出した事件で、6月8日、本学学部生(22)と協力者とみられる知人男性(28)(いずれも中国籍)が、偽計業務妨害の疑いで警視庁に逮捕された。本紙は、同試験を受験し今年度本学に入学した留学生2人から話を聞いた。

 不正が行われたとみられるのは、今年1月31日に行われた「私費外国人留学生選抜試験」で、数十人が受験していた。逮捕された本学学部生の自宅からはマイクロイヤホンが見つかっており、知人男性が学部生から何らかの方法で問題文の画像を受け取って、SNSを通じてあらかじめ協力を依頼していた第三者に送信したとみられる。SNSの投稿を見た別の中国人男性が不審に思い、本学に相談。本学は警視庁に被害届を提出していた。

 報道を受けて本学は9日、ホームページ上に「本学の学生が逮捕されたことは極めて遺憾です。詳細に関するお問い合わせには回答できませんが、今後も引き続き捜査に全面的に協力してまいります」とのコメントを掲載した。


 今回の事件について、当該試験を受けて今年度本学に入学した留学生2人が、匿名を条件に取材に応じてくれた。
 DSさん(商1)は報道後、周囲から入試の様子についての質問を多数受けたそうだ。試験当日はスマホの電源を切ってかばんにしまうよう指示があったが、大学側が不正を確認できなかったことには驚いたという。不正行為については「留学生全体の格を落としてしまう決して許されない行為だと思います」と語った。
 Aさん(社1)は、今回の不正については報道を見て知ったが、日本への留学を目指す学生の間でEJU(日本留学試験)やTOEFLでの不正行為が存在するという噂を、昨年から耳にしていた。Aさん自身も、受験生時代に通っていた塾でカンニングを唆すような声をかけられたことがあり、日本留学を目指す環境は「汚い」という。「他大学ではTOEFLの在宅受験のスコアを認めないなど、入試方法の変更があった。本学にも対応を検討してほしい」と述べ、警察の介入など公的な対処も必要だと訴えた。
 不正行為については「一時的には利益があるかもしれないが一生続けることはできないし、発覚したら母国に対する日本や他国の印象がどうなるか考えていない最低の行為だ。留学生試験を受ける学生たちは実力がないわけではないのに、なぜ不正行為に手を染めるほど自信がないのか。恥を知ってほしい」と非難した。