【KODAIRA祭2019】坂上康博教授講演会―戦前の運動部をたどる―

 KODAIRA祭2日目、社会学研究科の坂上康博(さかうえ・やすひろ)教授が「戦前の大学スポーツと一橋の戦没オリンピアン」と題した講演を行った。講演ではスポーツ史・スポーツ社会学を専攻する坂上教授が本学体育会運動部の歴史をたどった。

講演する坂上教授

 坂上教授によると明治時代は端艇部が本学の運動部で中心的な存在で、試合の応援などを通じて全学が団結するよりどころとなった。大正時代に入ると、運動部の設立ラッシュやOBの活躍が目立ち始め、日本人初のウィンブルドン選手権大会出場を果たした清水善造(しみず・ぜんぞう)などが躍進した。「黄金時代」と評された昭和初期には本学の学生やOBがテニス、ホッケー、水泳などの競技でオリンピックに出場。1920年から36年にかけて柏尾誠一郎、宇佐美敏夫、柴田勝見、清川正二ら4人のメダリストを輩出した。

 だが40年代に入ると状況が一転。戦時体制に備えて射撃や銃剣道などを扱う運動部が相次いで新設された。運動部は報告団鍛錬部・国防部に合併され、班として位置づけられた。本学運動部出身の戦没者数は243人にも上った。

 本講演を企画した「一橋いしぶみの会」世話人代表の竹内雄介さん(昭 49経)は、2015より本学出身戦没者のパネル展示や講演を行っている。今年は柴田選手の孫にオリンピックのメダルや遺品を見せてもらうなど予想外の出来事にめぐまれた。

 現役部員の中には先輩である彼らの活躍を知らない人もいるだろう。戦没者の奮闘を胸に刻み、日々まい進していくことの重要性を認識できる講演だった。