グラフ統合net春学期のみのゼメスター科目を受け持っている昨年度からの専任教員60人に、現時点で新学期制度が自身の講義や学生の学習にどのような影響を与えていると感じているかを調査するアンケートを実施した。有効回答数は17件だった。

・週一講義と比較し、講義やその準備がしやすくなったと感じていますか?

「週1の時の二倍速で進むため、準備の負担が大きい」「もともと90分では時間が足りず延長して講義をしていたので、時間が長くなってちょうどよくなった」「以前は提出まで2週間猶予のある重い宿題を7回ほど出していた。4学期制下では一回の宿題提出までの猶予を1週間程度にせざるをえず、一回あたりの宿題負担を軽くするしかない」

・学習効果にどのような変化があったと感じていますか。

「講義と講義の間隔が短いため、学生も前回の講義内容やその場での議論をよく覚えており、回を重ねるごとに議論とその理解が着実に深まっていった感がある」「中間レポートを課しているが、第1回目の授業から中間レポートの締切までの期間が以前より短くなり、授業内容の理解とその考察という点で学生に余裕がなくなるのではという懸念がある」

・新学期制度は、教員の研究活動や日常生活にどのような影響を及ぼしていると感じていますか。

「就職解禁日が学期末となるのは問題」「経済学研究科では5限は外部スピーカーを招聘してのセミナーに割り当てている部門が多い。5限開始が遅くなったことでスピーカーの側が疲れてしまう、セミナー後の懇親会も遅い時間になる、子供のいる教員が参加できない、などの弊害がでている」「学期中にすべき学内業務が集中し、同時期に予定されている学会報告を準備する時間が本当にとれない」「クオーターの授業、半期の授業、通年の授業とあってリズムに混乱を来す。クオーター制を導入したからといってたとえば授業のないクオーターを作り、そこを研究にあてるとかいうようなことも前述のような授業形態の混在がある限りできない」

・このほか、新学期制度による効果や影響などありましたらお書きください。

「教員は講義担当学期は研究よりも授業を優先させ、学生は同時履修科目が減ったぶん履修した科目により多くの力を注ぐことで、一橋の授業のクオリティは格段に向上する機会を得たと思う」「昔小平時代には100分の授業だった。学生の集中力がもたないということから90分授業に変更。それを105分に変えるとはどういう理由によるのか。どうしてそのような理屈に合わないことができるのか?これまでの歴史を踏まえるべき。理念なき改革に反対。形だけの改革に反対」「クオーター制が問題だと感じている。体調を崩すのもままならない感じ。間違いなく労働強化だ」


 

結果を概観すると、新学期制度については講義、勉学・日常生活への影響に至るまで批判的な意見が多いようだ。ただ、改革目的の妥当性と、制度づくりにおける不備とは分けて議論されなければならない。それを踏まえたうえで、執行部にはこうした一連の問題解決に向け、迅速かつ柔軟にアプローチする経営姿勢を求めたい。