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【報道】次期学長は蓼沼宏一氏に

 学長選考会議(議長・町村敬志社会学研究科長。委員の半数は学外者)は、7月31日に第3回学長選考会議を開き、次期学長予定者として経済学研究科教授の蓼沼宏一氏を選出した。12月1日に文部科学大臣によって任命される予定で、任期は4年間。

 蓼沼氏は現学長の山内進氏が本学の中期計画において、平成30年度までに目指すとした海外短期語学留学必修化について批判的で、山内氏の構想していた路線をどう修正していくかが注目される。

 今回の学長選考では、蓼沼氏と山内氏が候補者として選出されていた。7月30日には教員ら(非常勤講師などを除く教員と、係長・専門職員以上の職にある職員)475名を有権者とした「意向投票」が行われ、投票総数330票(うち無効票10票)のうち、蓼沼氏に過半数の205票、山内氏に115票が投じられた。第3回学長選考会議ではこの結果などを踏まえて委員による投票を実施(得票数非公開)、そこでも蓼沼氏が過半数を得票し、学長予定者に当選した。

 なお、先立って行われた学生・職員による参考投票(有権者の過半数の除斥票がいずれかの候補者に投じられた場合、除斥が成立する)では、除斥が成立した候補者はいなかった。7月14日から同18日にかけて行われた学生による参考投票は、有権者総数6382人に対して投票総数は720票(投票率11・3%・無効票9票)で、それぞれに集まった除斥票数は、蓼沼氏が198票、山内氏が438票だった。また7月15日と翌16日に行われた職員による参考投票では、有権者総数467人に対して投票総数は115票(投票率24・6%・無効票1票)で、蓼沼氏に30票、山内氏に58票が投じられていた。

 蓼沼氏は本紙のインタビューや、学部・院生自治会からの公開質問への回答の中で、海外短期語学留学必修化について財源や教育効果の面で反対の姿勢を打ち出している。留学必修化を目指すと明記された中期計画は大学の公約とも言われており、蓼沼氏が今後、山内氏の敷いた路線をどう修正していくかが注目される。蓼沼氏は学長予定者としての発言はせず、所信表明は学長に任命された後に大学広報誌やウェブサイト上で行うとしている。

 今回の選考では、意向投票の結果と選考結果が一致した。これについて町村議長に「選考会議は学内の意見を追認した格好になったのでは」と問うたところ、「学長選考規則第2条にある『学長予定者とされる者は、人格が高潔で、学識に優れ、かつ、大学における教育研究活動等を適切かつ効果的に運営できる能力を有する者であり、学内において信望の得られる者でなければならない』という基準のもと、選考会議の構成員で議論した上で投票を行い、蓼沼氏に決定した。追認という言い方は適切ではない」と回答があった。

 

蓼沼宏一(たでぬま・こういち) 82年本学経済学部卒。経済学博士(ロチェスター大学)。専門は経済理論。90年より本学で教鞭をとる。11年4月から2年間、経済学部長を務めた。著書に『幸せのための経済学――効率と衡平の考え方』など。労働法学者で77年から80年に学長を務めた蓼沼謙一氏は実父。