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KODAIRA祭 百田尚樹氏講演中止

講演中止を伝えるKODAIRA祭公式サイト

 2日、第21回KODAIRA祭(10、11日)の百田尚樹氏講演会の中止が発表された。中止についてKODAIRA祭実行委員会は、「講演会の拡大した警備体制が他の企画を犠牲にすることは、新入生の歓迎というKODA祭の理念に沿うものではない」と説明している。

 学内販売のチケットは12日から16日の昼休みに、東プラザ前で払い戻しを行う。


 実行委員会が中止理由に挙げた警備体制の拡大について、ある教員によると、実行委員会の提出した警備計画の変更案が5月31日の臨時の学生委員会会議で承認されたという。この案では、講演会が予定されていた10日、図書館利用目的の学生と講演チケット保持者以外の西キャンパス入構が禁止されていた。

 講演をめぐっては、百田氏がマイノリティに対する差別発言を行っていることを踏まえ、講演を憂慮する声が上がっていた。講演反対派と実行委員会は5月12日に会合を開き、意見交換を行った。

 会合には、4月中旬から反差別ルール制定を求めてきた反レイシズム情報センター(ARIC)、講演会中止を求める一橋生有志の会のメンバーらが反対派として参加。在日コリアンの学生は「講演内容や当日の警備体制に関わらず、講演会自体がつらい思いをさせる」と述べた。

 参加者全員は、協力して差別のない祭を作るという点では合意を形成。第2回会合を開く方向で散会した。

 しかし、その後実行委員会はARIC以外との会合を拒否。ARICとは22日に会合を実施し、反差別ルールの制定を約束したという。

 会合を拒否された有志の会は31日 、講演をめぐる動きの報告会を行った。報告会には学部協議会、院生自治会も出席。参加者からは「大学が許可している以上、一橋全体の問題」、「長年取り組んできた国際交流が無駄になる」といった意見が出された。教員からは「人権意識の欠如は教育の失敗」という反省の声も上がった。

 講演を問題視する教員も多く、社会学研究科は14日の教授会で議論の上、講演中止の検討と、人権委員会の設置など差別への中長期的な対処を求めた。

 5月末、河野真太郎准教授(商学研究科)など別の教員有志も蓼沼宏一学長、沼上幹副学長(教育・学生担当)宛に「企画を認可した大学は講演会に適切な介入を行うべきだ」とした要望書を提出。数日間で教員約60人の署名が集まったという。

 そのような中で、今月2日20時12分、KODA祭の公式ツイッターで急きょ百田氏講演会の中止が発表された。実行委員会によると大学からの中止要請はなかった。

 中止を求めていた有志の会の呼びかけ人の一人、本荘至さん(修言社3)は「学生を第一に考えた中止決定は英断」としつつも、事態の大きさを考えると経緯説明が不十分だと指摘。また、大学が公式見解を発表すべきとも話した。

 反差別ルール制定を求めていたARIC代表の梁英聖さん(博言社1)は「こうなった以上、差別やヘイトクライムに脅かされないKODA祭を実行委員会が作るべき」と主張。「差別禁止ルールを作ればおそらく国内初のケースとして高く評価される」とし、KODA祭当日まで制定を求める予定だという。

 要望書を提出していた河野准教授は講演中止を受け、「差別防止の仕組み作りに大学の全構成員が参画し、反差別の『文化』を創りだすべきだ」と述べた。また、今後検討すべき事項として、ハラスメント防止ガイドラインの改定、差別やハラスメントに関する学生・教職員研修の義務化、人権委員会の発足などを挙げた。院生自治会は「今後のKODA祭や一橋祭で類似の事態は起こりうる。多様な背景を持つ院生がいる以上、自治会としては差別のない大学を継続して目指す」とコメントした。