運営費交付金等の内訳を見ると、主に退職手当として使われる特殊要因運営費交付金は昨年度から3億993万円増えた。また新設された機能強化促進費(※1)として3465万円配分されたが、基幹運営費交付金は3979万円減額している。
重点支援枠再配分率
13・4㌽減
本学の場合、2016年度から毎年、基幹運営費交付金は機能強化促進係数(※2)により1・6%ずつ減額される方針となっている。減額した分は国立大学の重点支援の財源となり、機能強化経費及び機能強化促進費として再配分される。本学の今年度の再配分率は87・6%だったため、全体として973万円減少して再配分された。
再配分率は、各国立大学が設定した戦略に対する評価結果を反映している。今回の重点支援の評価結果及び今年度の再配分率は、1月12日に文部科学省が公表。今回の評価では、戦略の内容や進捗状況のほか、戦略の達成状況を判断するための評価指標(KPI)の妥当性や目標水準も評価対象となった。
本学の戦略は、戦略①「社会科学高等研究院を中核とする世界最先端の研究の推進」がB、戦略②「世界最高水準のプロフェッショナル・スクールの構築」がD、戦略③「質の高いグローバル人材の育成」がEの評価を受けた。戦略への評価はA~Eの5段階評価。
E評価を受けたグローバル人材育成戦略は「チューニングを通じた国際通用性のある教育研究システムの全学的導入の進展状況」など11の評価指標を設定しているが、このうち7項目が「成果の目標水準の妥当性」の項目でB評価を受けた。この項目は原則AまたはBの2段階評価で、B評価は「目指す成果等の水準が妥当だと十分には示されておらず、評価指標設定として妥当であるか判断しがたい」ということを示す。
財務課「妥当性理解されず」
この結果に対し財務課の担当者は、「提出した調書の表現において妥当性が十分に理解されず、低評価につながったと理解している」と述べた。また、前回の評価では組織整備を含む大学の機能強化全般が評価対象であり、その際は高評価を受けたことを踏まえ、「本学の機能強化の取組全体は、文科省からも高い評価を得ていると考えている」ともコメントした。
今回の評価について、本紙の取材に応じた教員は「教授会で詳細な報告を聞いた記憶がない。情報を共有して改善を図るという姿勢がないことが問題」と意見を述べた。
※1 機能強化促進費……運営費交付金とともに、機能強化の加速に必要な設備費や事業推進費等を支援する新設の枠組み。運営費交付金とは別枠で各国立大学に交付される。
※2 機能強化促進係数……国立大学の機能強化を支援する財源を確保するために、2016年度から国立大学は基幹運営費交付金の一部を拠出している。機能強化促進係数が各国立大学の拠出額を決定する。