新型コロナ 飲食店を支える取り組み、国立市でも

 新型コロナウイルスの感染拡大で、営業時間の短縮や客足の減少に悩む飲食店を支援する取り組みが、国立市でも始まっている。

「助けて!旭通り飲食店」
 旭通りにある飲食店や美容室など166店舗を束ねる協同組合国立旭通り商店会は、テイクアウトのできる飲食店を紹介するマップ「助けて 旭通り飲食店」を4月から配布している。掲載されているのはレストランやカフェ、居酒屋など全32軒だ。

 飲食店の売り上げ低下は深刻だ。商店会理事長の吉垣孝さんは現在の状況を「マップの『助けて』という言葉通りだ」と説明する。3月ごろから売り上げが落ち始め、現在は多くの飲食店がランチ営業とテイクアウトで持ちこたえている。

人通りの少ない旭通り

 マップ作成の旗振り役となったのは商店会の一員であり、イタリア料理店「Altopascio (アルトパッショ)」オーナーの吾妻宏樹さんだ。近所の飲食店の「こういう時こそ商店会が何かバックアップをしてほしい」という声を受けマップの作成を始めた。発案からわずか2週間で、1万5千部を作成し近隣住宅や飲食店に配り終えた。マップを片手にお店を訪れる人も多く、効果を感じているという。実際に吾妻さんのお店では、昨年比7割弱まで売り上げが落ち込んだ3月から一転、4月の売り上げは前年と同程度と手ごたえ十分だ。「今まで入りづらかったお店でも、テイクアウトならという人も多い。顧客の新規開拓の機会になるとポジティブに捉えています」。

バイト生、卒業生が支える人気店
 海鮮丼などが学生に人気の和食店「深川つり舟」は食事を事前購入できるサービスや、動画配信などのユニークな取り組みを始めた。

 きっかけはやはり新型コロナウイルス感染拡大による売り上げの低下だ。「3月半ばに客足がガツンと落ちたときには驚きました」と店の主人、湊実さんは話す。卒業シーズンには毎年多くの予約が入っていたが、今年はほとんどがキャンセルになった。売り上げは去年の半分以下だという。

 店の苦境を救おうと動いたのが、かつてバイトとして働いていた本学の卒業生たちだ。食事の事前購入サービス「さきめし」「ごちめし」の導入を提案し、4月20日から利用を開始した。「『学生時代にお世話になったから』と、すぐに動いてくれた」と湊さんは振り返る。

深川つり舟の「おまかせ弁当」650円

 現役の学生バイトらもSNSを使ったユニークな取り組みで店を支える。5月にはテイクアウト専用の新メニューの名前をインスタグラムで公募した。またユーチューブでの動画配信も開始。人気のまかない料理のレシピ紹介など、店の魅力を活発に発信している。湊さんは「学生が店のために試行錯誤して取り組んでくれた。お店が続けられているのは、現役バイト生やつり舟OB・OGさんの協力のおかげです」と話した。

ウェブサイトでテイクアウト情報を発信
 本学の団体の中にも飲食店を支援する動きが出ている。一橋祭運営委員会はウェブサイト「ひとつまち 一橋街歩き隊」で、テイクアウトのできる国立市近郊の飲食店をまとめたページを開設した。PV数は1日平均400件、昨年の4倍だ。
 
 「これまで一橋祭を支えてくれた国立市の飲食店のために何かできないかと考え、特設ページを作ることを決めました」と運営委員の原田零さん(法3)は話す。一橋祭と地域の飲食店のかかわりは深い。パンフレットに広告を掲載する代わりにお店から賛助をもらい、運営を行っているためだ。
 
 ページの作成が決まると、掲載店を集めるために国立市近郊の200軒の飲食店に電話をかけた。「お店が大変なときなので、学生の取り組みはありがたい」などの言葉が励みになったという。中には「今年は経営が厳しいから一橋祭に賛助できない」という声もあり、飲食店の苦しい状況を感じた。
 
 完成したページには写真や店からの一言コメントを掲載するなど、店の魅力が伝えるための工夫が施されている。「もっとたくさんの人に見てほしいので、ぜひSNSなどで拡散してほしい」と原田さんは呼びかけた。
 
 店舗の掲載依頼は随時受け付け中。掲載料なし。
(テイクアウト情報掲載フォーム→https://customform.jp/form/input/49047/)

リンクはこちら:
協同組合国立旭通り商店会
深川つり舟 ユーチューブチャンネル
ひとつまち 一橋街歩き隊