社学研究科 教員再編成へ   2023年度から 入試方式への影響も

 本学社会学部・社会学研究科において、2023年度より約20年ぶりに教員組織の再編成が行われることとなった。
 今回の再編成では、これまで大学院において「総合社会科学専攻」と「地球社会研究専攻」に分類されていた研究領域が、「社会学研究分野」、「共生社会研究分野」、「歴史社会文化研究分野」、「超域社会研究分野」という4つの研究分野に改組される。従来の「総合」と「地球」の枠組み自体は維持され、同じ研究分野に2つの専攻に属する教員が混在する形となる。また、再編後の地球社会研究専攻では、従来までの「文化」「越境」「平和」「メディア」「環境」という重点領域が廃止され、新たに「移民・難民研究」、「ジェンダー・セクシュアリティ研究」「アメリカ史・グローバルヒストリー」が教育分野の三本柱となる。それに伴い、「総合」「地球」間での教員の異動も行われる予定だ。
 今回の再編の経緯と概要について、貴堂嘉之・社会学研究科長に話を聞いた。
 従来の枠組みでは、個別の学問領域に関する知識や研究方法を系統的に学ぶ「総合社会科学専攻」と、特定の分野にとらわれずグローバルな問題解決に取り組む「地球社会研究専攻」という二つの専攻に分かれていた。しかし、貴堂研究科長によれば、2000年にこの枠組みとなってから20年余のうちに、両専攻の違いがなくなってきたという。そこで、1953年の社会学研究科創設から70周年を迎える来年度より、2専攻の枠組みを維持しつつもその垣根を低くし、実質的に一つのカリキュラムへと統合する運びとなった。
 また、この再編に伴い、2022年秋実施の2023年度社会学研究科大学院入試から、入試方式も変更されることが発表された。具体的には、修士課程の「総合社会科学専攻」と「地球社会研究専攻」の入試方式が、秋期一般選考、特別選抜、社会人特別選考、修士春期の4方式に統一される。なお、従来設けられていた外国人特別選考は、今回をもって廃止される。過去5~10年の入試動向では、ほとんどの外国人留学生が一般選考や特別選考を利用しており、維持する必要がないと判断されたためだ。
 履修に関しては、「総合社会科学専攻」と「地球社会研究専攻」の教員が大きく入れ替わり、これまで大学院でのみ授業を行っていた教員が学部の授業を新たに提供できるようになる見通しだ。加えて、来年の4月に向けて新たに7人程度の新任教員が着任する予定だという。貴堂研究科長は、「今回の再編成によって、これまでの教育の伝統が変わってくると思う。教員の所属が大きく入れ替わることで、新たに社会学部・研究科の研究が活性化する着火剤となることを期待している。学生にとっても良い再編となる」と力強く述べた。