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次期学長候補者の推薦開始 中野学長、来年8月に任期満了

 8月20日、国立キャンパス西守衛所前の掲示板にて次期学長候補者の選考および推薦について公示された。現職の中野聡学長(社会学研究科)の任期が来年8月31日をもって満了することに伴い、本学教員や学外の有識者など計16人から構成される学長選考・監察会議が次期学長の選考を行う。
 2020年9月1日に学長に就任した中野氏の当初の任期は「国立大学法人一橋大学基本規則」の規定に基づき、4年後の2024年8月31日までであったが、2023年10月、同会議が中野氏の再任を決定し、2026年8月末まで2年間任期が延長された。なお、6年を超えて学長に就任することはできない。
 現時点で5年目の在任となる中野学長であるが、就任当初、世界は新型コロナウイルス感染症パンデミックの渦中にあり、2021年1月に緊急事態宣言が発出されて以降、授業は原則的にオンラインでの実施に移行するなど異例の状況でのスタートとなった。コロナ禍を経て、学長は指定国立大学法人構想に関連して研究力強化に努め、その就任から現在まで本学はさまざまな転機や節目を迎えてきた。
 同会議は、2023年10月の再任審査や今年8月19日の業務執行状況の確認などを通じ、中野学長の手腕を一貫して高く評価。特に2023年4月のソーシャル・データサイエンス学部・研究科の新設に関して、教育力充実に向けたさまざまな施策を着実に実行し、成果をあげてきたと指摘。また、創立150周年という節目に際しては、学外関係者や如水会との交流を推進し、本学の社会的・財務的基盤の強化に大きく貢献しているとした。
 評価書ではさらに、①若手研究者や論文数の増加、②過去最多となる外国人留学生数の実現、③多摩地域におけるスタートアップ支援、④地方出身者や女子学生への住まい支援などを具体的な成果として列挙。「大学運営のあらゆる面で的確なリーダーシップを発揮している」と総括した。
 次期学長候補者の推薦は今年8月20日から10月31日までの期間に行われ、本学教員10人以上の推薦人が署名した推薦書を学長選考・監察会議に提出することが求められる。
 今年7月23日、同会議が改正した「国立大学法人一橋大学長に求められる資質と能力」によれば、求められる資質として、①高い倫理感、②研究教育活動への理解と優れた学識、③リーダーシップ、④世界に貢献する使命感が、また、求められる能力として、①明確な将来構想に向けた実行力、②組織運営力、③研究教育の質を維持・改善する調整力、④情報発信力があげられる。
 学生生活に対する学長の影響力は大きく、本学の今後の方向性を決定づける学長選考の行方は、大学の自治の観点からも注目に値する。本紙では今後も学長選考に関する話題を取り上げていきたい。

学長選をめぐる最近の動き