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【一橋文化の担い手たち】社会学研究会

 本学は、日本で唯一「社会学部」をもつ国立大学である。しかし、社会学の根底にある理論を深く学ぶことのできる授業は限られている。特に学部科目を履修する機会の少ない1年生の中には、社会学の理論など全く分からないという人も多いのではないだろうか。

  このような状況の中、昨年下山颯さん(社2)が中心となり、社会学の理論を学びあう社会学研究会を創設した。サークルを創設した動機について、下山さんは 「社会学の理論を利用するサークルはあったが、理論自体を学ぶものではなかった。純粋に理論を学ぶためには、新たな場をつくる必要性があると感じた」と話 した。

 社会学研究会では自分たちで読む本を決める。マックス・ウェーバーやデュルケームといった、社会学の理論家たちの古典を輪読しているそう だ。古典を読む際、社会学研究会ではまず「行為」、「権力」、「国家」といった概念の定義を厳密に把握することから始めるのだという。定義をはっきりさせ ることで、その概念が共有可能なものとなり、論点の整理もしやすくなる。厳密な定義を通して目の前に起きていることを改めて見てみると、同じものでもまっ たく解釈が異なり、新たな見方を発見できる。「新たな解釈を見つけることは、新鮮で面白い」と下山さんは言う。

 また下山さんは、社会学の理論を 学ぶことを「日常の延長線上」に捉えている。誰もが日常生活の中で、「あれで正しかったのだろうか」とか「これからどうすべきなのだろうか」と考えたこと があるだろう。そうした疑問に対し、誰もが理解できるようなきちんとした答えを出す過程の中に、社会学の学びがあると考えているそうだ。

 古典的 な社会学の理論は、現在とは時代も文化も異なる場で構築されたものだ。そのため、現在には通用しない部分がある。しかし、社会学が1つの学問として続いて きた以上、現在の社会学の根底に古典的な理論があることも確かだ。社会学が多様な学問とつながっている現在、理論の応用法も広がっている。自分の興味のあ るテーマを理論を通して改めて見てみると、新たな発見があるかもしれない。